第11回お題
変動費と固定費の指標。あなたがコントロールすべき経費は?
飲食店を経営するための費用には、大別すると「変動費」と「固定費」があります。この2つをどのようにコントロールするかによって、利益が変わります。売上向上だけでなく、費用を最小限に押さえることでより高い利益を生み出すことができるのです。
(1)変動費とは?
売上の変動にあわせて、その金額が変わる費用のことを指します。原価、アルバイト人件費、水道光熱費、販売促進費など。
(2)固定費とは?
売上の変動に影響されず、その金額が変わらない費用のことを指します。家賃、社員給与、減価償却費、支払利息、リース料、本部費、固定契約料など。固定費は当初から決まってしまう性質の為「初期条件」とも言います。
項目 | 割合 | 考え方 | |
---|---|---|---|
変動費 | 原価 | 30%前後 | 料理原価、食材原価などの原価率です。原価と人件費の合計は対売上の60%以下になるように目標設定をします。 |
人件費 | 27%前後 | 社員給与、アルバイト給与、通勤交通費や食費、福利厚生費などの人件費です。人件費と原価の合計が、対売上の60%以下になるように目標設定をします。 | |
水道光熱費 | 5%前後 | ガス代、電気代、水道代などの水道光熱費です。 | |
販売促進費 | 3%前後 | 広告宣伝費や販売促進費などです。 | |
その他 | 5%前後 | 事務用消耗品や修繕費、通信費などの諸経費です。 | |
Total 60%~70% | |||
固定費 | 家賃 | 10%以下 | 賃料、共益費、売上歩合家賃などを合わせた費用です。 |
その他 初期条件 |
10%以下 | 減価償却費、支払利息、リース料などを合わせた費用です。 | |
Total 15%~25% |
「変動費」+「固定費」=「費用合計」を売上高比率で90%以内に収めよう!
言い換えれば、そうすることで、10%以上の営業利益(経常利益)を出すことができます。
人件費について
社員給与は月額固定給であることが多いので本来は「固定費」と考えられるのが基本です。また、アルバイト人件費はシフトに応じて変化させることができる=店の繁忙にあわせたシフト作成=店の売上により変動するもの、と考えられます。
しかし、昨今では、社員給与も変動費化することで営業利益率を高めたり、経営効率を向上させる考え方が主流となっています。
アルバイトは店舗が忙しくないと早退させて人件費を削減するということは散見されます(これもやり過ぎると収入見込みが減ったり、やる気が減退したりして、様々な問題を引き起こしますので注意が必要です)。
社員給与の変動費化の主な方法は「社員の成果又は業績変動型の給与制度の導入」があります。
社員が作り上げた売上や粗利益の獲得に応じた成果給部分を多く、成果によって変わらない基本給部分を少なくする給与体系により人件費の変動化が進みます。売上を沢山作ることができる社員にはそれ以外の社員より多く報酬を与える方法とその逆の方法をセットで行なうことにより人件費の変動費化が実現できます。
また、毎月の給与部分を少なくし、会社の業績に応じた賞与を多くする給与体系も可能です。会社の利益が赤字やトントンであれば賞与を出さず、利益を上げれば賞与を出す方式にすることにより、人件費が変動費化します。
このように、経費の30%前後を占める人件費を変動費化してコントロールすることで、あなたのお店を利益体質に変化させていくことが飲食店経営に求められます。
いずれにしても、店舗の現状と社員の気持ちをよく理解した上で、強い意志を持って実践することが成功の秘訣です。