第5回お題
損益計算書が判ると経営がもっと楽しくなる(その2)!
~「箱のP/L」を使うと利益構造や戦略が簡単に判る~
前回は店舗の損益計算書と私たちの生活計算書を比較して、損益計算書の構造を学びました。今回はさらに単純化して、その構造と利益の関係を解説します。
〈飲食店の損益計算書の構成図〉
〈通常の損益計算書〉
- 売上
- 100,000
- 売上原価
- 60,000
- 売上純利益
- 40,000
- 販売費及び一般管理費
- 5,000
- 営業利益
- 35,000
- 営業外収益
- 5,000
- 営業外費用
- 10,000
- 経常利益
- 30,000
- 特別利益
- 2,000
- 特別損失
- 3,000
- 税引前当期純利益
- 29,000
- 法人税、住民税及び事業税額
- 12,000
- 当期純利益
- 17,000
売上 | 売上原価 | ||||
売上総利益 (粗利) |
販管費及び一般管理費 | ||||
営業利益 | 営業外損益 | ||||
経常利益 | 特別損益 | ||||
税引前 当期 純利益 |
法人税/ 住民税など |
||||
当期純利益 |
左の損益算書と右の箱を比較してみてください。
損益計算書の構造を図解すると上のようになります。
また、売上と経費・利益の構造図から、利益構造は以下のような公式になります。
当期純利益=売上-(売上原価+販管費+営業外損益+特別損益+法人税/住民税)
但し、一般的な飲食店経営では、営業外損益や特別利益はそれほど多くは発生せず、店舗運営の現場では『営業利益』又は『経常利益』を経営指標にするところも多いようです。
従って、ここでも『営業利益』≒『経常利益』と考えることにします。
(『税引前当期純利益』や『当期純利益』について別の機会にご説明します)
シンプルに考えると以下のようになります。
営業利益(経常利益)=売上-(売上原価+販管費)
この構造を図で示すと以下のようになります。
この四角い図をここでは『箱のP/L』と呼ぶことにします。
損益計算書(いわゆるP/L)はこの『箱のP/L』に全て落とし込むことができます。
難しいと敬遠しがちな損益計算書も『箱のP/L』で考えると、具体的施策にまで落とし込むこともできるのです。
売上 (客数×客単価) |
売上原価 | |
売上総利益(粗利) | 販管費及び 一般管理費 |
|
営業利益 (経常利益) |
では、この『箱のP/L』を使って下の問題にチャレンジしましょう!
〈頭の体操〉
都内の某住宅街に小さいながらも人気のビストロがあります。
客単価が3,000円で月商15,000千円、原価率30%、販管費及び一般管理費が8,250千円/月というお店です。
さて、以下の問いにお答えください。
- (1)このお店の営業利益額はいくらでしょうか?
- (2)このお店の営業利益額を5%向上させるためには売上がいくら必要ですか?
- (3)原価率を5%上昇させると営業利益額はいくらになりますか?
- (4)一人当りあと300円売上が高くなると営業利益額はいくらになりますか?
- (5)客数と客単価が10%ずつ向上すると営業利益は何%向上しますか?
解答と解説は……
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