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第6回お題 損益計算書が判ると経営がもっと楽しくなる(その3)!~営業利益や経常利益が高ければそれでよいのではない~

第6回お題

損益計算書が判ると経営がもっと楽しくなる(その3)!
~営業利益や経常利益が高ければそれでよいのではない~

前回と前々回の2回は損益計算書の構造を理解しながら、どうすれば利益を高めることができるかを学びました。
しかし、実は損益計算書で何よりも注目しなくてはならないのが「経営安全率」なのです。

〈限界利益〉
限界利益とは以下のように示すことができます。

限界利益=売上高-変動費
限界利益=固定費+利益

限界利益とは売上から変動費(食材原価)を差し引いて、固定費と経常利益を賄う金額のことです。
飲食店では変動費=食材原価であることが多いので、以下のように考えられます。

限界利益(売上総利益)=売上高-商品仕入価格
限界利益率(売上総利益率)=限界利益/売上高

そこで、以下で示す「経営安全率」は上記の「売上総利益」を「限界利益」として取り扱うこととします。

〈経営安全率〉
経営安全率とは、限界利益を100%とした場合の経常利益率(営業利益率)の割合のことです。
つまり、限界利益が何%減少したら経常利益が0となり、会社の経営が赤字になるのかがわかります。
何故ならば、限界利益から固定費などの経費を差し引いたものが経常利益(営業利益)だからですが、
この限界利益が少ないと、すぐ経常利益(営業利益)がマイナス(赤字)になるかがわかります。

たとえば経営安全率が8%の会社なら売上が8%ダウンすると経常利益が0となります。
限界利益は<売上-変動費(食材原価)=限界利益>で求められ、
変動費は売上の大きさに必ず比例する費用ですから、
結局売上が8%減少すると限界利益も8%減少します。

したがって、経営安全率=売上減少耐久率と言えます。

〈経営安全率の目安(TKC調べ)〉

  • 目標は15%(経営安全率が15%を超えれば儲かっている会社)
  • 赤字企業の平均は-7%
  • 黒字企業の平均は8%
  • 黒字企業の上位15%(優良企業)の経営安全率の平均は18%

それでは、下の〈頭の体操〉をやってみましょう!!

〈頭の体操〉

損益計算書からは利益の絶対値と経営にどの程度の余裕があるかがわかります。A社とB社はどちらの会社がより儲かっているでしょうか?

  A社 B社
売上 150 350
変動費(原価) 50 105
売上総利益(限界利益) 100 245
固定費 95 225
経常利益(営業利益) 10 20
経営安全率 10% 8%
A社の経営安全率
10%(10÷100×100%)
B社の経営安全率
8%(20÷245×100%)

例え、売上が大きくても、経常利益額が大きくても、経営安全率という「儲けの指標」を見ればすぐ判ります。

〈経常利益の絶対値だけで判断せず、必ず経営安全率に注目する〉
経常利益の絶対値が大きいことは手元に残る利益が大きいことにつながります。しかし、いくら経常利益が多くても、限界利益に対する割合が小さければ、僅かな売上ダウンですぐに赤字経営に陥ってしまい、儲かって余裕がある会社とは判断できません。
A社は経営安全率が10%であり、もしも売上が1割落ち込んだとしても「損益トントン」の状態。一方、経営安定率が8%のB社の売上が1割落ちたとしたら赤字になってしまい、経営に余裕のある会社だとはいえません。
つまり、経常利益はB社の2分の1しかないですが、経営安全率でB社を上回るA社のほうが経営的にも余裕があり、「本当に儲かっている会社」だと判断できます。

正解はA社です。

─ ま と め ─

経営安全率を高めることは限界利益に占める経常利益の割合を高めることです。つまり、経常利益を増やす必要があります。
〈限界利益-固定費=経常利益〉ですから、限界利益を増加させるか、固定費(人件費や経費)を削減することが経営安全率のアップにつながります。

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