第8回お題
人件費をどのようにコントロールするか?
飲食店の多くは原価率を30%くらいに設定しています。さて、人件費はどのくらいに設定しているのでしょうか?また、その適正値はあるのでしょうか?今回からは複数回にわたり、人件費を管理する指標を学びましょう!
■人件費は合理的に設定すべき
さて、多くの飲食店経営者は人件費を多く支払いたくないと考えています。自分が社員だった頃にはもっと給料を高くして欲しいと願っていた事など忘れて(苦笑)。もちろん、経営者は利益を最大化する為にも、あらゆるコストを引き締めることがその責務です。しかし、食材や水光熱費などと違い、人件費は心のある人間に対する評価でもありますので、いたずらに上げ下げするものでありません。つまりは、合理的判断に従って管理されるべきものとも言えます。
■年齢給は経営者視点ではない
現在は「年齢給」と呼ばれ、25才なら25万円、35才なら35万円が妥当な月額給与と言われることもあります(年齢×10,000円)。それだけ給与設定に何の違和感も感じずにいる経営者が多いのも事実です。しかし、利益を上げるための経営は全て論理的でなければなりません。人件費も同様です。
■事前に設定することで綿密な経営を行なうことができる
経営は全て数値で評価・判断できます。売上に対してどのくらいの人件費が適正なのか、1時間あたりどのくらいの売上や利益が出るのか、どのくらいの接客数が必要なのかは、全て計画とその差異を明らかにすることで綿密に経営する指標となり得ます。では、その指標を学びましょう。
人時売上高
「従業員1名の1時間当りの売上高」のことです。
「売上高÷実労働時間数」で算出できます。
高ければ高い程よく、サービスオペレーション品質の評価やワークスケジュール(シフト)を組む際にも参考指標となります。
人時生産性
「従業員1名の1時間当りの粗利益」のことです。
「粗利益高÷実労働時間数」または「人時売上高×粗利益率」で算出できます。高ければ高い程よく、労働分配率を掛ければ、1名の1時間当りの人件費が算出できます。
人時接客数
「従業員1名の1時間当りの接客数」のことです。
「客数÷実労働時間数」で算出されます。
高ければ高い程よく、ファミレスやファーストフードなどのチェーン店ではワークスケジュール(シフト)作成に利用する場合が多いようです。
アタマの体操
次のお店の人時売上高、人時生産性、人時接客数を計算しよう!
- 1日当り売上高
- 500,000円
- 1日当り労働時間数
- 100時間
- 1日当り来客数
- 400名
- 標準原価率
- 35%
- 従業員の平均時給
- 1,500円
- 人時売上高
- 500,000円÷100時間=5,000円
- 人時生産性
- 5,000円×65%=3,250円
- 人時接客数
- 400名÷100時間=4人
■人件費を抑さえる方法が判る!
人時売上高が算出できれば、例えば、「人件費を売上高の28%に抑える」ためには、どのくらいの労働生産性が必要かも弾き出せるようになります。
現在の従業員平均時給(社員、パート・アルバイト含む)を算出し、目標人件費率をもとに逆算すれば求められます。
このように人件費も食材原価率同様、経営者がコントロールできる経費なのですから、この人件費管理の方法を学ぶことが業績向上に直結します。
…次回は上記の指標を使って人件費を削減する方法を学びます!