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タイトル

第39回 ASITANOHANA

2013.9.19
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カウンター限定8席のみ。目の届く範囲で、ゆったり過ごしてほしいから。

三宿のマンションの一室。鉄のドアを開けるのにはちょっとした勇気がいります。

でも、その向こうは女性オーナー、岸本昌子さんがやさしくお出迎えしてくれるのでした。

カウンター8席の空間。窓辺にはグリーンが飾られ、色とりどりのボトルが見えます。明るく、清潔な店内。いやお店というより、昌子さんのキッチンに招かれたような気分になります。

「カウンターの高い椅子って、落ち着かなくて。それで低い椅子を置くことにしました。ゆっくりとくつろいでワインを楽しんでほしいですね」

お店のユニフォームやコックコートに見慣れているためか、ティーシャツにエプロンという普段着感覚のスタイルがとても新鮮!

そう、昌子さんは2012年6月にお店をオープンするまでは、飲食業の経験はナシ。テレビ業界で活躍されていた、クリエーティブ畑の人なのでした。

昔から友人を招いてホームパーティを開催したり。大好きなワインに合う料理をアレンジしてみたり。ワインと料理で人によろこんでもらうことに、生きがいを感じていた昌子さん。

そのスタンスをそのまま表現しようと、「ASITANOHANA」をオープンさせました。

人に楽しんでもらいたい。それがじぶんのよろこびになる。飲食業の原点ともいえる空気感が漂っているのです。

「ここはまさに自宅の延長みたいな場所。マンションの重厚なドアを開けるのは不安かもしれないけれど、最近すこしずつ勇気をもってドアを開けてくれる女性も多くなって、ほんとにうれしいんです」

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自宅の延長みたいな場所で、女性ひとりでもワインと料理を楽しめる。

■飲食経験なし、といっても、ワインに合う料理を楽しく掘り下げてきただけあって、メニューは多彩で、ひと皿ごとにオリジナリティが見られます。

サンマをコンフィにアレンジしたり、旬の素材でスープを仕込んでみたり、気まぐれごちそうサラダは女性に人気のメニューです。その日、お店に行かないと出会えない料理も。

フォカッチャやパンも、自家製です!

前菜の3点盛りでワインをゆったりと楽しむもよし、肉料理やパスタもオーダーしてお腹いっぱいにするもよし。イタリアワインをメインにいろいろと楽しめるメニューになっています。

三宿というエリア柄か、近所にお住まいの人が仕事帰りに立ち寄ったり、休日にレストランとして使う人もいます。

シャワーを浴びて短パン姿で。あるいは、すぐ近くにある銭湯帰りに立ち寄り、よく冷えたシャルドネで一杯なんて人も。三宿スタイル、ですね!

ご近所感覚なので、お客さんは昌子さんのことを「シェフ」とか「ママ」とは呼びません。みなさん、親しみをこめて「マコちゃん」とか「マサコさん」と呼びます。

お店をはじめて2年目。お客さん以上に、お店を楽しんでいるのが、実は昌子さん本人なのです。

「今日は何をつくろうかな。どんなお客さんが来てくれるかなぁ。そんなことを想像しながら、毎日、お店を開くってとても楽しいことですね!」

ファイル形式でボールペンで手書きされたメニュー。こんなところにも手づくりのあたたかさが生きています。

人気の田舎風パテ。前菜は1種500円、2種で800円、3種で1000円! これをつまみにゆったりとワインを楽しめますね。

マンションの一室。この鉄のドアを開けるのは多少の勇気が……。でも入ってみれば、女性ひとりでも居心地のよい世界です。

店舗情報
アシタノハナ (asitanohana)
東京都世田谷区三宿1-19-16 島田コーポ 1F
tel.03-6323-2804
営:18:00~翌2:00
休:火曜・第4水曜
交:田園都市線池尻大橋駅徒歩10分
<予告>次回のリレーキーワードは?
「アシタノハナ」地元のバー「BAR CIELO」

がんばって修行して、いよいよ独立しました、というタイプのお店と違って、どことなくホッとできる「ASITANOHANA」。お店と自宅の真ん中あたりの雰囲気をかもしだした、不思議な空気感がそうさせているのでしょう。さて次のお店をご紹介いただきました。「仕事が終わって夜中ひとりで立ち寄ることの多いワインバーがあります。『BAR CIELO』さんは女性ひとりでも楽しめるとても素敵な空間。おすすめです」。ありがとうございます。それでは次回、久々の三軒茶屋からのレポートです。

文:高木 正人
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