集まるスタッフたちは、みんな沖縄大好き♪

次郎さんはミャーク（宮古島）の出身。19才から東京で暮らしているので、言葉はきれいな東京弁ですが、同郷仲間との会話ではいきなり宮古の言葉に！　もう何を言っているのか、さっぱり分かりません（笑）

おっと、そのヨコにいる女子は？

あやめちゃんです♪　長く伸ばした美しい黒髪と、おっとりした笑顔なので、ウチナーンチュかと思いきや、広島出身のナイチャーなのでした。

唄三線を勉強しながら、沖縄を通して平和のあり方について研究・活動している、とても素敵な学生さんなのです。もちろんシマー（泡盛）も大好き♪

「ときには、おとーりだって、やりますょ！（笑）」

高田馬場は学生街だけあって、あやめちゃんのような沖縄大好きな女子たちが「次郎亭」でアルバイトをしています。だから店はいつも元気いっぱい、夢いっぱい！

次郎さんは、広告掲載などのアルバイト募集をしたことがありません。

「卒業するとき、後輩のコを連れてきてくれるからね（笑）。スタッフ不足で困ったことなんてないわけさ」

飲食業の人不足が叫ばれるなか、うらやましい限りです。

まもなく、営業時間の17:30。

海鮮ゴーヤ、A&Wカーリーフライ、沖縄サラダ……。次郎さんはキッチンに入り、あやめちゃんは本日のおすすめボードにメニューを描き込みます。次郎さんの故郷にある東平安名岬や池間大橋が壁面に描かれ、畳に座布団が敷き詰められた空間が、ゆる～いスピード感で、営業モードに入っていきます。

独りでも、いつの間にかお店の仲間。そんなやさしさに、泡盛がきくぅ～。

私は、カウンターに座ってまずオリオンの生ビールでのどを潤します。次郎さんの仕事姿をつまみに、シマー（泡盛）もすすみます。

アオサの天ぷら、てびち、特製つけめん、どれもおいしい。食べたことのある素材にもかかわらず、初めて食べるおいしさです。

空間は、次郎さんのおうちにお邪魔しているような、というより、家そのものといった居心地なのですが、料理は沖縄家庭料理というより、個性豊かで、かっちりとした創作料理の数々。旬の野菜たちも、次郎亭スタイルのさまざまな料理へと生まれ変わります。

コンロは業務用中華コンロ。ものすごい火力の上で、中華鍋を滑らせていきます。

「ずっと中華料理のコックをやってきたからね。お客さまに満足していただきたいから、きちんとプロの味で勝負することを心がけています。キッチンから出て、座敷にきてお客さんと飲むかって？　自分が飲み出すと、お客さんがオーダーしなくなっちゃうから（笑）。だから、キッチンにいるようにしているよ。べつに決まり事はつくらず、まぁすべては様子を見ながら、ということだね」

次郎さんは、独りで飲むのがきらい。だから、お客さまにも独りで飲ませたくないという気持ちがあります。それが次郎さんのサービスの考え方なのですね。というより、これだけは次郎さんのこころの中の決まり事なのかもしれません。

テーブルとテーブルで、知らない人どうしが友だちになったり。独りで来店しても、次郎さんやアルバイトスタッフとお話ししながらお酒と料理を楽しめる。それが「次郎亭」最大の魅力です。

私も、酔いが深まるうちに、お客さまとの会話も盛り上がり、終電をあきらめ、始発待ちに切り替えようかと、一瞬考えてしまったほど（汗）

「今度は取材なしで、ゆっくり飲みに来れば？」

たんでぃがたんでぃ！（ありがとうございます）