

2014年6月掲載
お客様もスタッフも幸せになれる店を目指して。
昨秋、新百合ヶ丘にスタイリッシュなイタリアンレストラン「Ottantotto(オッタントット)」が誕生した。川崎市出身で現在も近隣に住まう岩井シェフにとっては、まさに地元。しかし、地域の人々のニーズを探りながらの出店だった。
「新しい街なので、個人店がまだまだ少なく、可能性があると感じています。住んでいる方には舌の肥えた、いわゆる富裕層も多く、お客様には『こういうお店ができてうれしい』と言っていただいています。そういう声を聞くと、ここに出してよかったなと感じるんですよ」
物件探しから開始して、施工工事もスムーズにはかどり、準備期間は約4、5ヶ月。「非日常的な空間でありながら、かしこまらずに普段使いできる」というコンセプト通り、魅力的な店舗に仕上がった。
「オープン当初はランチ営業をしていなかったので、その間にスタッフとビラ配りをしたり、ポスティングも行いました。全部で6千枚くらい配ったので、『チラシを見ました』というお客様もかなりいらっしゃいました。おかげさまで、集客は予想以上に早かったですね。思った以上に客単価も高くなりました。地元のファミリー層をターゲットに考えていたので、家族連れではワインなどはあまり出ないと思っていたのですが、普通に飲んでいただいています。ファミリーの方はたいてい5時、6時と早めの時間帯に来られるので、その後のピークタイムとの使い分けにもなっています。初めから社員2人を抱えて、正直どうなるかなという部分もあったのですが、今では人が足りないような状況です」
オープンから約半年、幅広い層の人たちの支持を得て、店舗運営はきわめて順調。その一方、岩井シェフは今後の課題として労働環境を挙げる。自店のみならず、飲食業界全体を見据えて、スタッフの働きやすい環境づくりを目標としている。
「お客様第一はもちろんですが、その次にはやはりスタッフです。お客様も自分たちも幸せになれる店でなければ、経営は成り立たないと考えています。今はまだオープン時期の忙しさもあって、皆に無理をさせてしまっているので、その部分を早く改善していきたい。飲食業界にある仕事がキツくて賃金が安いというイメージを、この店から変えていきたいと思います」


神奈川県川崎市麻生区万福寺6-2-23 MSビル2F
電話/044-819-6684
交通/小田急各線「新百合ヶ丘駅」より徒歩4分
http://www.ottantotto.info/
ディナー/火~日17:00~24:00
profile
岩井 一史 Kazuhito Iwai1980年、神奈川県川崎市生まれ。「武蔵野調理師専門学校」を卒業後、「ヒルトンホテル」に勤務。その後、フレンチレストランで2年間経験を積み、海外へ。帰国後、表参道のイタリアンレストランで約6年間シェフを務める。2013年11月、念願の独立を果たし、「Ottantotto(オッタントット)」をオープンする。