

2014年7月掲載
和牛雌牛をリーズナブルに! 地元密着焼肉店。
実家が焼肉店を営んでいたこともあって、自分も焼肉店で独立しようと考え、修業に出たのが32才のとき。少し遅いスタートだったが、その分濃厚な修業時代を過ごすことになった。
「当時流行しはじめた一頭買いの個人店、企業として展開している焼肉店、他ジャンルの料理人が腕をふるう店、そして老舗ならではのあたたかさが光るお店。本当にさまざまな人とお店に恵まれてよかったと思っています」
長谷川氏が店のオープンに際して考えたコンセプトが、「和牛の雌牛」をメインにしたラインナップ。自分と同世代の経営者が営む芝浦の精肉店との出会いを通じて、絶対の自信をもって提供できる極上の食材を仕入れることが可能に。
「人との出会いがすべてですね。同じ価値観をもっている大切なビジネスパートナーとして、大変お世話になっています」
まったく土地勘がなかった南阿佐ヶ谷という立地。パソコンを駆使してビラをつくり、自分の足でポスティングも行った。メニューのデザインも自家製だ。
「居抜き物件だったのですが、初期費用が当初の計画よりも大きくなってしまい、自分でできることはなるべく自分でやるようにしました」
オープンして半年、しみじみと実感しているのが飲食店はひとりではできないということ。
「関係会社の協力はもちろんのこと、家族の理解を得て、スタッフの力を借りて、ようやく店が回っているというのが実感です。その中でお客さまのお出迎えとお見送りという当たり前の接客をきちんとやるよう心がけています」と、新オーナーは、短くて長いこの半年を振り返る。
「修業時代に出会った各国料理のシェフたちから吸収した調理技術を基に、個性的な創作料理にも力を入れています。都心で食べたら高価格になる極上の雌肉をリーズナブルにご提供し、地元のファミリーやご夫妻、若いカップルのみなさんに気軽にお越しいただいています。これからも地元に愛される焼肉店でありたいですね」
自分を支えてくれるすべての人に感謝し、謙虚であること。修業時代よりも新オーナーになった今こそ、その気持ちが強く膨らんでいるようだ。


東京都杉並区成田東5-35-12 山清ビル2F
電話/03-5397-3226
交通/地下鉄丸ノ内線「南阿佐ヶ谷駅」より徒歩3分
profile
長谷川 正 Tadashi Hasegawa1975年、東京生まれ。実家が焼肉店を経営していたため、高校時代から手伝っていた。大学卒業後、一度はサラリーマンになるが32才で焼肉店の開業をめざして修業へ。柏市の一頭買いの個人店、新宿・池袋の焼肉店では料理長・店長を経験。西麻布の店では、他ジャンルの料理人とも交流を広め、六本木の老舗店を経て、独立を果たした。