

2015年12月掲載
日々反省。毎日、新しい気持ちで朝を迎える
駒澤大学のキャンパスにもほど近い立地ながら、「駒沢魚庵 直」のコアターゲットは美味を知る大人たち。オープン2年目に突入し、“大人の隠れ家”としての人気はすっかり定着してきているようだ。
「お客様からは『美味しい鮨や焼き魚が食べられてありがたい』とよく言われます。『駒沢にこういう店をつくってくれて、ありがとう』という言葉をいただいたのが、一番うれしかったですね」
笑顔でそう語る岡村氏は、刺身居酒屋の先駆け的存在である有名店「魚真」の出身。店長として豊富な経験を積み、多忙な毎日を送りながらも、独立に向けてのシミュレーションを常に行ってきた。
「自分の力で稼ぎたいという想いが原動力でした。もともと『魚真』には駒沢店があったのですが、渋谷へ移ることになり、もったいないと感じたのがこの場所を選んだきっかけです。駒沢公園にもよく遊びに来ていて、食事をしようとなった時、周りに魚の専門店がないというのもありました」
物件探しは思いのほか、スムーズに運んだ。あとは、「自分が何をやりたいのか」、店のコンセプトを固めるだけだった。
「5000円で刺身や焼き魚、煮魚が食べられて、小腹がすいたら鮨という、魚料理を完結できる店にしたいと思いました。それにはスキルの見直しが必要でした。客単価3000円の店とは違う演出もしなければならない。お客様が料理とお酒をゆったりと楽しめる雰囲気づくりも考えました。それが、ぴたっとハマったのでしょう」
「飲食に従事する人が減っていく中、ただ店舗を拡大しても人材不足で苦労するはず。ラザニアは冷凍してストックすれば、安定した商品を提供できます。温めて出すだけのスタイルなら、高齢者も外国の方でもコストをかけずに販売が可能。通販や催事など、多角的な展開もできるでしょう」
オープン当初から客足は順調に伸び続け、数ヶ月のうちに黒字化。わずか1年余りで軌道に乗せることに成功。しかし、現状に岡村氏は安穏としていない。自らを律して、次のステージを見据えている。
「人間は経験を積むほど、生意気になっていくもの。自分にはこれだけお客様がついているんだというような態度が少しでも出ると、お客様は増えていきません。日々、反省です。オーナーとして毎日、新しい気持ちで朝を迎えたいと思います。今の目標は客層をもっと広げて、オープニングスタッフの2人を次のステップに進ませること。まずはこの店の土台をかためた上で、違う業態での出店も考えています。彼らに、飲食の仕事を心から楽しいと思ってもらえる環境をつくっていきたいですね」


東京都世田谷区駒沢1-17-15 アルコ駒沢ビル1F
電話/03-6450-7313
交通/東急田園都市線「駒沢大学駅」徒歩2分
http://www.sakana-iori-nao.com/
profile
岡村 直人 Naoto Okamura1976年、北海道生まれ。高校卒業後、上京し、さまざまな業界でのアルバイト勤務を経て、21才で飲食の世界へ。魚料理の人気店「魚真」を運営する株式会社 シンに入社。渋谷の「4番サード魚真」の店長を皮切りに、4店舗で店長を務め、新店の立ち上げにも数多く携わる。2014年7月、独立を果たし、「駒沢魚庵 直」をオープン。