

2016年2月掲載
食は文化。楽しい思い出が甦る店をつくりたい。
横浜・馬車道にいかにも似つかわしい、「大衆肉バル Mr.EUROPE」は欧州の雰囲気をそのままに再現。ポルトガルやスウェーデン、ギリシアなど、他店では味わえないヨーロッパ20ヶ国の郷土料理が揃う。美味しいものに目ざとい女性たちを中心に、大勢のお客様でにぎわっている。
「リピーターの方がとても多いんですよ。ヨーロッパを旅行したお客様がお土産を持ってきてくださったり。あれもこれも、お客様が実際に買ってこられたものです」
オーナーシェフの若林氏が示す先には、おしゃれな雑貨や小物がずらりと並ぶ。オープンから1年を経て、人々の心をがっちり掴んでいるのが伝わってくる。ここに至るまで集客には相当苦心したとのこと。
「オープンした11月は繁忙期なので、まずまずでしたが、年明けになると客足が引いていきました。夏には、1年を超えられるだろうかと思ったくらいです」
状況を打破するきっかけとなったのが多メディアの活用。広告を複数サイトに振り分け、さらに地元のフリーペーパーを利用することで反響が高まっていった。昨年の倍近い売上を達成した現在も、「もっと早くメディア戦略を立てていれば違っていたはず」と振り返り、その大切さを強調する。
「独立して最初から一等地に店を持てないでしょう。つまり、認知されづらくなる。店の認知度を上げるのは大変なことです」
一方、大通りから外れた立地ならではの恩恵も。周辺にマンションが多いため、ファミリーにまで客層は拡大している。
「地域の方から『サワーはないの?』と言われることもあります。でも、焼酎やサワーは置きません。私がやりたかったのはヨーロッパを表現すること。そこに注目して、リピーターになってくださる方もいます。地域の特性よりも、このお店を気に入ってくれる人を大切にしたいと思います」
自分のポリシーを貫けるのがオーナーの醍醐味。「本当にやりたいことを行うには独立するしかない」と、若林氏は断言する。
「食は文化。あのときに食べた料理は美味しかったなと、楽しい思い出が甦るような店にしたいと考えています。それには、スタッフがいかに熱を持ってお客様に応対してくれるか。今の課題は、そういう社員を育成することです。そして、ヨーロッパへの研修旅行を実現させたいですね」


神奈川県横浜市中区北仲通2-30 井上ビル1F
電話/045-228-9128
交通/みなとみらい線「馬車道駅」「日本大通り駅」徒歩2分
http://mr-europe.com
profile
若林 俊男 Toshio Wakabayashi1977年、神奈川県生まれ。学生時代よりヨーロッパの歴史や文化に興味を持ち、卒業後、ヨーロッパ専門の旅行会社に入社。9.11の影響で旅行業界が衰退したのを機に、飲食の世界へ。フレンチやイタリアレストラン等で12年間経験を積み、各国の料理を学ぶ。2014年11月、独立を果たし、「大衆肉バル Mr.EUROPE」をオープン。