

子供2人を抱え離婚。生きていくためにさまざまな仕事をし、常に全力で、人一倍の努力をしてきた。その経験と自信をもって、田中裕子氏は61才の今、自身で店をもつという長年の夢を実現する。
2017年9月掲載
経験と自信を糧に、61才で店舗経営に初挑戦
10月、赤坂見附にオープンする鉄板焼店「すて~き 茶寮 ひみ呼」。オーナーは、61才にして初めて店舗経営に挑戦する、田中裕子氏だ。これまでさまざまな職場で働いてきたが、経営に携わったことは一度もない。
「いつか店を持ちたいという夢は、十数年前から抱いていたんです。飲食店を含め今までいろんな職場で働いて、どこでも人一倍努力してきましたが、夢を実現させるチャンスがなかなかなくて。そうするうちに結局この年になり、諦めかけていたところ、友人が『あなたなら絶対に大丈夫。是非やるべきよ』と言ってくれて。その言葉が背中を押してくれました」
かつては専業主婦だった田中氏。21才で結婚するも、30代半ばで離婚。子供2人をかかえ、生活のためさまざまな仕事をした。結婚式場、経理、すし店やそば店、鉄板焼店での接客…ただひとつ共通していたのは、田中氏がどの職場でも、常にトップクラスの業績をあげてきたことだ。
「ある店では、オープン当日に何も教えてもらえないまま現場に立つことになって。でも、それがかえって勉強になりましたね。お客様がいらしたら、お名前や会社名、何がお好きか、どんなお話をされたかなどを自分でリストにし、データ化していったんです。いらっしゃるたびに逐一お尋ねするわけにもいかないですから。それにお客様がいらしたときに『今日もソーダで割られますか』なんてお聞きすると、とても嬉しそうになさるし、そのお顔を見るのが私も嬉しくて。リストは、何年もの間にかなりの人数分になりました」
そしてついに、田中氏は「ひみ呼」という形で、その経験と自信を結実させる。
「経験を活かして、素材には徹底的にこだわっています。お客様には素材と美味しいワインが織りなす味わいを存分に楽しんで頂きたいですね。スタッフとは定期的にミーティングをして一緒にお店を作っていけたらと思います。若い人からすれば『そんな年で、よくやるね』と思うことでしょう。自分でも『なんでもっと若いときにやらなかったんだろう』なんて思うこともありますが、『今だからできるのかもしれない』とも思います。誰にでも〝旬の時代〟ってあると思うんですよ。61才からを、人生最高の旬の時代にしていきたいですね」


東京都港区赤坂3-10-19 第二対翠館ビル4F
電話/080-4384-2373
交通/地下鉄各線「赤坂見附駅 」より徒歩1分、地下鉄千代田線「赤坂駅」より徒歩5分、地下鉄各線「永田町駅」より徒歩4分
profile
田中 裕子 Hiroko Tanaka21才で結婚し、2人の子供を出産。30代半ばに離婚。 結婚式場の装花や企業の経理、すし店やそば店、鉄板焼店でのホールスタッフなどさまざまな仕事を経て、2017年に会社 を立ち上げる。10月、東京・赤坂見附に鉄板焼店「すて~き 茶寮 ひみ呼」をオープン。