

オーナーである「イノッチ」こと猪口氏の、「ホームパーティのように、気軽にフレンチを楽しんでほしい」という 思いのもとに誕生した「BISTRO INOCCHI」。カジュアル・フレンチの名店をめざす。
2017年11月掲載
ホームパーティのように気軽なフレンチを
今年9月、中目黒にオープンした「BISTRO INOCCHI」。店名にはオーナーである猪口氏の思いが込められている。
「イノッチは、私のニックネームです。フランスでの修業時代には、自分の創作した料理を作る機会がなかなかありませんでした。そこで1~2ヶ月に一度、家に友達を呼んでホームパーティを開いたんです。『ビストロ・イノッチやるから、来ない?』と声をかけて。このお店は、その延長線上にあります。お客様にはわいわいと気軽にフレンチを楽しんでもらいたいですね」
店内は外光が差し込み、色とりどりのグラスを輝かせる。打ちっぱなしのコンクリートの壁には花や緑が飾られ、フランスのお洒落なビストロといった雰囲気。
猪口氏は、10代からの夢であった経営者を目指し、大学は商学部に進学。しかしレストランでのアルバイト中に料理に目覚める。以来、数々の飲食店で修業を積み、29才からフランスのビストロで1年間働いた。
「フランス語の『ここで働きたい』という言葉だけを練習し、バックパックひとつで渡仏しました(笑)。到着2日後には働くことができ、さらに運のいいことに、そこがたまたまベスト・ビストロ賞をとったお店でした。修業はとても大変だったし、ベッドのない部屋や電気のつかないトイレなど生活面でも苦労しましたが、希望が大きかったのでネガティブにはなりませんでした」
帰国後は誰もが知る「レストラン タテル ヨシノ」に入り、その後広尾の名店「ラ・トルチュ」で料理長として働いた。そして今年、満を持して独立を果たす。
「修業を重ねたぶん、独立は先延ばしになってしまいました。でも、焦りはありませんでした。これまで色々なお店を見てきましたが、お洒落なお店やブームになったお店でも、働く人に技術と経験がなければお店は続きません。結果として私は、経験と自信を身につけ、自分にとっていいタイミングで独立できたと思います」
猪口氏が「BISTRO INOCCHI」から発信するのは、フランス料理の新たな可能性。
「フランス料理は、学んでも学びつくせません。様々な食材を使うことができるし、ソースとの組み合わせも無限にある。ここでは、フランス料理の伝統をふまえながら、オリジナリティある料理を表現していきたいと思っています」


東京都目黒区中目黒1-6-15 ノブジィハウス1F
電話/03-6712-2349
交通/各線「中目黒駅」より徒歩6分
ディナー18:00~23:00(L.O.22:00)
profile
猪口 玄洋 Norihiro Inokuchi1979年生まれ、熊本県出身。大学卒業後、株式会社 ラムラに就職し、料理人としてさまざまなレストランに勤務。29才でフランスに渡り、ビストロで修業。帰国後は「レストラン タテル ヨシノ」に入る。広尾のビストロ「ラ・トルチュ」では料理長として勤務する。2018年9月、中目黒で「BISTRO INOCCHI」をオープン。