
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「自己都合退職による「就職支援金」の返還について」

Q.
今度就職が決まったお店では、「就職支度金」として給料の3ヶ月分が支給されます。ところが、3年以内に自己都合退職をしたら全額返還することになっています。これは法律上は問題ありませんか。
【31才 女性】

A.
違法と判断される可能性が高いでしょう。労働基準法の考え方の一つに、労働者を不当に拘束することを禁止することがあります。5条では、労働者の意思に反して労働を強制することを禁止しています(強制労働の禁止)。また、16条では違約金や賠償額をあらかじめ定めることを禁止して、身分的従属関係となることを防止しています(賠償予定の禁止)。要は、「辞めたいのに辞められない」といった拘束状態は許されないということです。ご質問のように3年間の長期間の勤続をしなければ、給料3ヶ月分という高額の返還を迫られるという状態は、経済的足止め策であり、5条、16条の趣旨に反することになります。
グルメキャリー120号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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