
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「女性にだけ支給される「結婚祝金」」

Q.
私の勤務先では、結婚祝金の支給対象が女性だけとなっています。なんとなく違和感があるのですが、これは問題ありませんか。
【30才 男性】

A.
このケースは明らかに労働基準法違反となります。労働基準法第4条は、「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」と、男女同一賃金の原則を定めています(募集、採用、配置、昇進、教育訓練などの賃金以外についての性別による差別は、男女雇用機会均等法で禁止されています)。基本給が男女で異なる、男女別の賃金表を定める、男性にだけ家族手当を支給する、などといった取扱いはもちろん違法です。それだけでなく、女性は能率が悪い、勤続年数が短い、主たる生計維持者ではない、といった社会通念またはその事業場における一般的実態を理由とする賃金差別も、「女性であることを理由として」いることになり、違反となります。
また、4条は女性を男性よりも有利に扱うことも禁止すると考えられています。したがって、ご質問のように女性にだけ結婚祝金を支給することも違法となります(結婚祝金は、就業規則等で支給条件が明確になっていれば、労働基準法上の「賃金」となります)。このような規定は、ひと昔前だと「女性は結婚したら退職するもの」という考えのもと、せん別として支給することを想定して設けられていたようです。しかし、今どきそんな規定が残っているなんて、時代錯誤もいいところです。
また、4条は女性を男性よりも有利に扱うことも禁止すると考えられています。したがって、ご質問のように女性にだけ結婚祝金を支給することも違法となります(結婚祝金は、就業規則等で支給条件が明確になっていれば、労働基準法上の「賃金」となります)。このような規定は、ひと昔前だと「女性は結婚したら退職するもの」という考えのもと、せん別として支給することを想定して設けられていたようです。しかし、今どきそんな規定が残っているなんて、時代錯誤もいいところです。
グルメキャリー121号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
業務案内:給与計算、労働・社会保険の手続き代行、就業規則の診断・作成 店長・管理職対象労務研修の実施、人事・労務相談