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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「入社前に提示された見込み額を下回る賃金について」

質問1

Q.

 1年近く前に、今のお店に途中入社しました。入社前は、「月給は30万円だが、賞与の支払実績からすると、年収見込み額は450万円くらいになる」と言われていました。ところが、ここ最近の業績が思わしくなく、賞与の額が少ないので見込みの年収を大きく下回りそうです。これは契約違反ではありませんか。
【32才 男性】
答え

A.

 途中入社に際して、このように「見込み額」というあいまいな約束で採用され、後からトラブルになるケースがよく見受けられます。裁判例によると、職業安定所の求人票に記載されていた「見込み額」は、労働契約申し込みの誘引であり、確定的な労働契約とはならないとして、見込み額との差額の賃金請求権を否定しています。ただし、入社する側にとっては、見込み額に期待するのはもっともなことですので、同判決では、求人者は信義則上、みだりに見込み額を下回る額で賃金を確定すべきでない義務を負っていると指摘しています。
 また、就職情報誌の求人広告や社内説明会において、新卒同年次定期採用者と同等の待遇を受けることができるものと信じさせかねない説明をしたとして、労働条件明示義務違反と信義則違反により、中途採用者に対して慰謝料100万円 の支払いを命じた裁判例もあります。
 ご質問の場合、お店の側は「見込み額」と明示していますし、賞与についても金額や計算方法を約束していない限り請求権は発生しません。したがって、これを根拠に見込み額を下回る賃金を請求することは難しいでしょう。ただ、人事労務のトラブルの多くは、労使双方の「言った言わない」が原因となっています。特に採用時においては、誤解を生むような説明をしないよう、お店の側は十分な注意が必要です。
グルメキャリー127号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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