
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「遅刻に対して、その時間相当分の通勤手当カットは違法か」

Q.
私の勤務しているお店では、通勤手当として1ヶ月定期券代が支給されます。ところが、遅刻、早退、欠勤があった場合、その時間に応じて、基本給部分だけではなく通勤手当もカットされます。仮に1時間遅刻したとしても、通勤に要する費用は変わらないのに、何だか納得いきません。
【38才 男性】

A.
「通勤手当は、通勤に要する実費を支給されて当たり前」と思い込んでいる方が多くいます。しかし、法律上、通勤に要する費用は、本来労働者が負担するものとされています。そのため、通勤手当の支給は、使用者(お店の側)に義務づけられているわけではありません。支給対象者や支給額の計算も、使用者がその通勤手当にどんな意味を込めているか、どんな理念で支給しているか次第となります。
通常、基本給等の月給は、「1ヶ月すべての所定労働日・所定労働時間に過不足なく勤務した場合に、満額を支給」されることになっているでしょう。ですから、1時間遅刻したら1時間分、1日欠勤したら1日分を満額の月給からカットされることになります。通勤手当についても、「1ヶ月すべての所定労働日・所定労働時間どおりに勤務して、はじめて満額の1ヶ月定期券代を支給」との意味を込めているのだとしたら、同様のカットも理にかなったものとなります。
したがって、ご質問のような計算方法の契約も、ただちに違法とはいえないでしょう。
通常、基本給等の月給は、「1ヶ月すべての所定労働日・所定労働時間に過不足なく勤務した場合に、満額を支給」されることになっているでしょう。ですから、1時間遅刻したら1時間分、1日欠勤したら1日分を満額の月給からカットされることになります。通勤手当についても、「1ヶ月すべての所定労働日・所定労働時間どおりに勤務して、はじめて満額の1ヶ月定期券代を支給」との意味を込めているのだとしたら、同様のカットも理にかなったものとなります。
したがって、ご質問のような計算方法の契約も、ただちに違法とはいえないでしょう。
グルメキャリー165号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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