
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「さかのぼり昇給があった場合、退職者に差額が支給されるか」

Q.
5月末で退職しました。勤務していたお店は、毎年4月に昇給することになっていました。ところが、今年は予算の都合により、昇給額の決定が遅れました。その結果、6月になってから4月にさかのぼって昇給することになりました。退職した私は、差額をもらうことはできないのですか。
【28才 男性】

A.
定期昇給やベースアップが、さかのぼって決定するケースは、まれに見受けられます。その場合、「遡及(そきゅう)して支給される賃金は、本来支給されるはずだった分の後払い」と考えると、すでに退職した者にも差額を支払うべき、ということができます。
一方、「実際の昇給額が確定していない限りは権利として発生したわけではない」と考えると、権利発生前に退職した者には差額の請求権はない、ということもできます。
行政解釈によると、「新給与決定後過去に遡及して賃金を支払うことを取り決める場合に、その支払対象を在籍者のみとするかもしくは退職者をも含めるかは当事者の自由である」としています。また、遡及昇給の際、退職者を含まないと規定していた事例における裁判例には、退職者の差額請求を認めなかったものがいくつかあります。
つまり、お店側が、さかのぼり昇給の適用対象者に、退職者を含めていたか含めていなかったか、定め方次第ということになります。退職者を含めないと定めていた場合には、差額を請求するのは難しいでしょう。
一方、「実際の昇給額が確定していない限りは権利として発生したわけではない」と考えると、権利発生前に退職した者には差額の請求権はない、ということもできます。
行政解釈によると、「新給与決定後過去に遡及して賃金を支払うことを取り決める場合に、その支払対象を在籍者のみとするかもしくは退職者をも含めるかは当事者の自由である」としています。また、遡及昇給の際、退職者を含まないと規定していた事例における裁判例には、退職者の差額請求を認めなかったものがいくつかあります。
つまり、お店側が、さかのぼり昇給の適用対象者に、退職者を含めていたか含めていなかったか、定め方次第ということになります。退職者を含めないと定めていた場合には、差額を請求するのは難しいでしょう。
グルメキャリー170号掲載

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特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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