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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「所得税法の改正により、家族手当減額は許されるか」

質問1

Q.

 今年に入って、なんだか給料が減ったなあと思っていたら、家族手当が減額されていたことに気づきました。その上、手当減額で支給総額が減っているにもかかわらず、源泉所得税はむしろ増えているようです。お店の方からは、「所得税法の改正で、16才未満の扶養家族は控除の対象にならなくなったから」とだけ言われましたが、納得がいきません。
【38才 男性】
答え

A.

 子ども手当の支給開始に伴い、所得税法が改正されました。その改正により、平成23年1月以降は、16才未満の扶養親族は、控除対象としてカウントされなくなりました。結果として、16才未満の扶養親族がいる人にとって、今年以降、支給給与額がまったく同じなら、源泉所得税は増加します。また、少々支給額が減ったとしても、源泉所得税の方は増加することもあります(扶養カウントの減る影響が大きいため)。あなたが受けた給与計算では、源泉所得税の算出は問題ないと思われます。
 ただ、家族手当の減額については、注意が必要です。家族手当は法律で支給が義務付けられているわけではないので、どんな基準でいくら支給するかは、賃金規程(就業規則)や労働契約の内容次第となります。
 一般的に、家族手当の支給対象となる扶養家族は、
 (1)所得税法上の扶養親族
 (2)健康保険法上の被扶養者
のいずれかとして、賃金規程で規定している会社が多いようです。もしも、(1)の表現であったとすると、減額されても仕方ないような気もします。しかし、改正された所得税法をよく読むと、「控除対象扶養親族=扶養親族のうち、年齢16才以上の者」と定義しています(所得税法2条1項34の2号)。この定義からすると、16才未満の扶養家族は、「控除対象扶養親族」ではないものの、今年以降も「扶養親族」であることには変わりないことになります。つまり、(2)はもちろんのこと、(1)の規定になっていたとしても、減額はできないことになります。あなたの勤務先の賃金規程が、どのような表現になっているか確認する価値はありそうです。
 ところで、先述のとおり、家族手当は法律で義務付けられたものではありません。その手当にどのような意味や価値をもたせて支給するか、支給するお店側の理念にかかっています。法律の改正に完全にリンクさせるのか、法律はどうあれ「うちはこういう意味を込めて支給するのだ」と理念を貫くか、せっかく支給する手当なのですから、経営者は今一度見直してみるべきでしょう。
グルメキャリー188号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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