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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「計画停電でお店が休業していた時間の賃金と休業手当」

質問1

Q.

 地震の影響で実施されている計画停電の対象地域に、私の勤めるお店が含まれています。停電時間中はお店が休業となるのですが、その時間は仕事をしていないため、賃金が支払われません。計画停電は今後も続き、このままでは生活にも影響が出てきます。お店側の都合で働けないときは、賃金の代わりに手当を支払わなければいけないのではないのですか。
【26才 男性】
答え

A.

 労働者に働くつもりがあるのに、会社の都合や使用者(お店の側)の責任で休業させる場合、平均賃金の60%を休業手当として支払わなければならないと定められています(労働基準法26条)。では、今回のような計画停電による休業は、「使用者の責任」にあたるのでしょうか。
 この点について、平成23年3月15日に、厚生労働省から「計画停電が実施される場合の労働基準法第26条の取扱いについて」として、行政通達が出されています。これによると、「計画停電の時間帯における事業場に電力が供給されないことを理由とする休業については、原則として使用者の責めに帰すべき事由による休業には該当しない」としています。つまり、計画停電の時間帯だけ休業するのは、使用者の責任ではないので、休業手当の支払義務はありませんよ、ということです。残念ながら、ご質問のケースは、計画停電の時間帯だけの休業であれば、賃金も休業手当も支払われなくても、違法にはならないということです。
 仮に、お店の側が「計画停電の時間帯だけ店を閉めるのではなく、いっそのこと丸一日休業してしまおう」と考えたとします。同通達の続きによると、この場合は、使用者の責任による休業にあたるので、休業手当が必要としています。ただし、この場合でも、「他の手段の可能性、使用者としての休業回避のための具体的努力等を総合的に勘案し、計画停電の時間帯のみを休業とすることが企業の経営上著しく不適当と認められるとき」には、計画停電以外の時間帯を含めて使用者の責任にあたらない(つまり休業手当は不要)としています。今後、計画停電の時間帯以外の休業については、微妙な判断が必要となるでしょう。
 確かに、計画停電は使用者の責任ではないというのももっともですが、だからといって、労働者の責任でもありません。それなのに、一方的に労働者が不利益を被るのはひどすぎるという批判の声も上がっています。この通達は計画停電が始まってすぐ出されたため、今後の動向に注目する必要があります。ここで重要なことは、通達の後段で述べている、計画停電の時間を超えての、いわば『悪ノリ的な休業』を無給とすることは許さないという姿勢を示していることです。決して、計画停電の名の下に、無給で休業させることにお墨付きを与えたわけではありません。特に経営者・お店の側は十分認識するべきです。
グルメキャリー189号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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