
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「年俸に残業代を含ませることができるか」

Q.
私の勤めるお店では、正社員全員に年俸制が導入されました。その際に、年俸には残業代が含まれている、との説明を受けましたが、どういうことですか。
【36才 男性】

A.
年俸制とは、一言で言えば、「年単位で賃金を決定する制度」のことです。労働基準法においては、何も特別な取扱いがされているわけではありません。例えば、年俸とはいっても、分割して毎月1回以上、一定の給料日に支払わなければなりません(労基法24条)。また、管理監督者でない限りは、割増賃金(残業代)も必要です。「年俸制なら残業代を支払わなくてもいい」と思い込んでいる経営者は非常に多いのですが、これは誤解です。また、「『年俸には残業代を含む』と定めておけば、それで残業代を支払ったことになる」と考えている経営者も少なくありませんが、これには注意が必要です。
行政解釈によると、「(1)年俸に時間外労働等の割増賃金が含まれていることが労働契約の内容であることが明らかであって、(2)割増賃金相当部分と通常の労働時間に対応する賃金部分とに区別することができ、かつ(3)割増賃金相当部分が法定の割増賃金額以上に支払われている場合」にはじめて、『年俸には残業代を含む』とすることが認められます。
年俸600万円のケースで考えてみましょう。このうち、例えば120万円を割増賃金部分、480万円を通常の労働時間に対応する賃金部分とに区別します。そして、これを12等分して毎月支払うという方法があります。なおかつ、実際の残業時間が、この割増賃金部分を超過した場合には、超過した分を支払わなければいけません。ここまでやらなければ、『年俸には残業代を含む』ことにはなりません。
行政解釈によると、「(1)年俸に時間外労働等の割増賃金が含まれていることが労働契約の内容であることが明らかであって、(2)割増賃金相当部分と通常の労働時間に対応する賃金部分とに区別することができ、かつ(3)割増賃金相当部分が法定の割増賃金額以上に支払われている場合」にはじめて、『年俸には残業代を含む』とすることが認められます。
年俸600万円のケースで考えてみましょう。このうち、例えば120万円を割増賃金部分、480万円を通常の労働時間に対応する賃金部分とに区別します。そして、これを12等分して毎月支払うという方法があります。なおかつ、実際の残業時間が、この割増賃金部分を超過した場合には、超過した分を支払わなければいけません。ここまでやらなければ、『年俸には残業代を含む』ことにはなりません。
グルメキャリー214号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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