
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「遅刻欠勤等による賃金カットの額に制限はないか」

Q.
先月は体調不良のため、何日も遅刻や欠勤をしました。その分の賃金をカットされたため、支給された給料は通常の2割ほど少なくなっていました。労働基準法では、賃金カットの上限があると聞いたことがあります。私の場合はその上限を超えて、法律違反ではないのでしょうか。
【28才 男性】

A.
遅刻や欠勤等の不就労に対する賃金カットに上限はありませんので、法律違反とはなりません。
労働基準法上、賃金の定義は、「労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」とされています(労基法11条)。現実に労働を提供した場合に、その対価として発生するのが、賃金を受け取る権利(賃金債権)ということです。別の言い方をすると、遅刻・早退・欠勤等により、労働を提供しなかった時間については、賃金は支払われないのが原則です。このことを、「ノーワーク・ノーペイの原則」といいます。月給制の場合、不就労時間に対する賃金を、満額の月給額から差っ引かれるので、先ほどは「賃金カット」という表現をとりました。しかし、厳密には、「カット」されるのではなく、そもそも「賃金債権は発生していない」のです。
もっとも、法律上、不就労の時間に対して賃金を支払ってはならないというわけではありません。欠勤があっても賃金を控除しない「完全月給制」という賃金制度もあれば、家族手当や通勤手当については、1日、2日の欠勤では、控除しない会社もあります。不就労時間について、どんな計算方法で控除するかは、就業規則(賃金規程)や個別の労働契約しだいとなります。
さて、あなたの言う労働基準法における「賃金カットの上限」とは、「減給の制裁」に関する規定のことでしょう。確かに、制裁として減給をする場合には、その減給額は1回の額が平均賃金の1日分の半額まで、総額が一賃金支払期における賃金の総額(月給制の場合は、その月に実際に支払われる月給の総額)の10分の1まで、と上限が定められています(労基法91条)。しかし、これは、制裁(懲戒)罰としてすでに発生した賃金債権から減給を行うことに対する規制です。不就労時間に賃金が発生しないのと、まったく別の問題です。また、不就労時間に対する控除する金額については、法律上の制限はありません。
労働基準法上、賃金の定義は、「労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」とされています(労基法11条)。現実に労働を提供した場合に、その対価として発生するのが、賃金を受け取る権利(賃金債権)ということです。別の言い方をすると、遅刻・早退・欠勤等により、労働を提供しなかった時間については、賃金は支払われないのが原則です。このことを、「ノーワーク・ノーペイの原則」といいます。月給制の場合、不就労時間に対する賃金を、満額の月給額から差っ引かれるので、先ほどは「賃金カット」という表現をとりました。しかし、厳密には、「カット」されるのではなく、そもそも「賃金債権は発生していない」のです。
もっとも、法律上、不就労の時間に対して賃金を支払ってはならないというわけではありません。欠勤があっても賃金を控除しない「完全月給制」という賃金制度もあれば、家族手当や通勤手当については、1日、2日の欠勤では、控除しない会社もあります。不就労時間について、どんな計算方法で控除するかは、就業規則(賃金規程)や個別の労働契約しだいとなります。
さて、あなたの言う労働基準法における「賃金カットの上限」とは、「減給の制裁」に関する規定のことでしょう。確かに、制裁として減給をする場合には、その減給額は1回の額が平均賃金の1日分の半額まで、総額が一賃金支払期における賃金の総額(月給制の場合は、その月に実際に支払われる月給の総額)の10分の1まで、と上限が定められています(労基法91条)。しかし、これは、制裁(懲戒)罰としてすでに発生した賃金債権から減給を行うことに対する規制です。不就労時間に賃金が発生しないのと、まったく別の問題です。また、不就労時間に対する控除する金額については、法律上の制限はありません。
グルメキャリー216号掲載

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特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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