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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「インフルエンザにかかって欠勤した期間は、無給になるのか」

質問1

Q.

 インフルエンザにかかり、1週間ほど欠勤しました。給与明細書を見ると、この期間は欠勤控除されていました。診断書も提出したし、インフルエンザは感染症の病気なのに、無給になるのですか。
【33才 男性】
答え

A.

 病気やケガが原因で、労働者からの申出によって欠勤をした場合、賃金は発生しないのが原則です。なぜなら、賃金は労働の対価であり、労働者が労働を提供しなければ、使用者(お店の側)は、賃金を支払う義務が発生しないのが原則だからです。このことを、ノーワーク・ノーペイの原則といいます。このことは、インフルエンザで休むのも、通常の風邪やケガで休むのも、変わりはありません。
 では、ご質問のケースとは異なりますが、労働者からの申出ではなく、使用者が強制的に休ませた場合はどうなるでしょうか。この点については、そもそもインフルエンザにかかった者を働かすことができるのかどうかを考えてみます。
 労働安全衛生法68条および同施行規則61条において、「病毒伝ぱのおそれのある伝染病の疾病にかかった者については就業を禁止しなければならない」として、病者の就業禁止を定めています。ただし、行政解釈により、法定伝染病については感染症法によって予防の措置がとられるから、この条項の対象とならないとされています(現在、労働安全衛生法で対象となっている疾病は、結核ぐらいとされています)。
 では次に、感染症法を見てみます。感染症法では、感染症を危険性が高い順に一類から五類の区分に分類しています。そして同法18条では、一類から三類の感染症にかかった場合、就業制限を取ることができるとしています。ただし、通常の季節性インフルエンザは、五類に分類されているため、就業制限の対象とはなりえません。
 以上のとおり、季節性インフルエンザは、法律上、就業が制限されているわけではありません。したがって、使用者が業務命令として休業させた場合には、「使用者の責めに帰すべき事由による休業」として、労働基準法26条により、使用者は平均賃金の60%の「休業手当」を支払う義務があるという説もあります。
 しかし、労働契約の原則に立ち返ると、労働者には、労働契約にもとづき労働を提供する義務があります。ここでいう「労働の提供」とは、なんとなく働いていればいいわけではなく、心身とも健康な状態で『完全な労働』を提供しなければなりません(「債務の本旨に従った履行」といいます)。逆にいえば、インフルエンザにかかって高熱を出してボーっとした状態で働くのは、完全な労働ではないので、使用者はその労働の受領を拒否すること(つまり、強制的に休ませること)ができると考えられます。この場合、完全な労働をできないのは、労働者側の責任なので、賃金の支払義務は発生しないということになります。
グルメキャリー233号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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