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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「管理監督者に、深夜割増賃金は必要か」

質問1

Q.

  チェーン居酒屋を展開する会社で、エリア内にある店舗を指導する、エリアマネージャーというポジションについています。賃金については、管理職手当が支給される代わりに、残業手当や深夜手当等は一切つきません。ところで、先日あるところで、残業手当の支払が不要な管理職にも、深夜手当は支払わなければならないと聞きました。これは本当ですか。
【35才 男性】
答え

A.

   日本の企業社会では、「管理職は残業手当がもらえない」ということが、常識のように言われてきました。この根拠は、労働基準法上の労働時間、休憩、休日に関する規制について適用を除外する者として、「監督もしくは管理の地位にある者(管理監督者)」が定められていることにあります(労基法41条2号)。労働時間規制の適用を除外されているため、同時に、時間外労働や休日労働に対する割増賃金(いわゆる残業手当や休日出勤手当)も不要となります。
 しかし、ここでいう「管理監督者」と、企業内で「管理職」と呼ばれる者とは、必ずしも一致しません。管理監督者が、労働時間規制の適用から除外されるのは、経営者と一体的な立場にあるからです。管理監督者に該当すると認められるためには、かなり厳しいハードルをクリアしなければなりません。ファストフードチェーン店舗の店長が、管理監督者には当たらないと判断された地裁判決が平成20年に出され、世間の注目を集めました。
 さて、ご質問の件ですが、あなたは管理監督者に該当するという前提でお答えします。先述のとおり、管理監督者には労働時間規制の適用がないため、それに伴い、残業手当や休日出勤手当の支払義務も、お店にはありません。しかし、深夜労働に関する規定については、適用除外となっていません。したがって、管理監督者といえど、深夜時間帯(夜10時から翌朝5時)に労働させた場合には、時間単価の25%分の、深夜割増手当の支払が、お店には義務づけられています。その点では、お店の側は、深夜労働をした時間については、時間管理が必要となります。
 ところで、行政通達によると、「労働協約・就業規則その他によって深夜業の割増賃金を含めて所定賃金が定められていることが明らかな場合には、別に深夜業の割増賃金を支払う必要はない」とされています。つまり、就業規則に「管理監督者に支給する管理職手当には深夜割増賃金を含む」との規定があれば、別途、深夜手当を支払う必要はないことになります。
 ただし、裁判例の中には、これを認めるものもあれば、深夜割増賃金部分を明確にしなければならないとしているものもあります。お店の側は、トラブル対策として、管理職手当のうち、いくらが深夜割増賃金なのか明確に設定しておく方が良いでしょう。この場合、実際の深夜労働に対する割増賃金が、その設定した深夜割増賃金相当額を超えた場合には、超過分を支払うことになります。
グルメキャリー273号掲載
イラスト

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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