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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「業績に応じて支払われる手当は、割増賃金の基礎に含めるか」

質問1

Q.

  飲食店で店長をしています。毎月、売上高に応じて、「業績手当」が支給されます。ところで、毎月残業が発生して残業代が支払われているのですが、この業績手当は残業代の計算の基礎に含まれるのですか。
【35才 女性】
答え

A.

  ご質問の業績手当は、残業代(割増賃金)の計算の基礎に含めなければ違法となります。ただし、割増賃金の計算方法は、基本給等の部分とは大きく異なります。
 労働基準法では、1日につき8時間、1週につき40時間を労働させられる上限の時間と定め(法定労働時間)、この時間を超えて働かせた場合(いわゆる残業)には、通常の賃金に加え、25%の割増率で計算した割増賃金を支払うことを義務づけています。
 割増賃金の計算から除外できる賃金は、(1)家族手当(2)通勤手当(3)別居手当(4)子女教育手当(5)住宅手当(6)臨時に支払われた賃金(7)1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金、の7種類に限定されています。ご質問の「業績手当」は、このいずれにも該当しないので、割増賃金の計算に含めなければ違法となります。
 次に計算方法です。まず、月給制の場合、基本給等については、その月額賃金を、1ヶ月あたりの平均所定労働時間で割った金額を時間単価とします。そして、その時間単価を1.25倍した額に残業をした時間数をかけた額が割増賃金となります。
 一方、ご質問のような「業績手当」やいわゆる「歩合給」は、法律的には「出来高払制その他の請負制」の賃金にあたり、この場合、残業時間を含めてその月に実際に働いた「総労働時間」で割った額が時間単価となります。そして、割増賃金の計算にあたっては、先ほどの計算式で1.25倍としたところを0.25倍で計算します。
 簡単な数字で考えてみます。例えば、1ヶ月平均所定労働時間、ある月の所定労働時間がともに170時間、その月の残業が40時間 、(合計した総労働時間は210時間)、基本給20万4000円、業績手当4万2000円だったとしましょう。基本給20万4000円は所定労働時間170時間に対して支払われるものであり、残業40時間に対しては割増分(0.25倍)とともに通常の時間単価(1.00倍)をあわせて支払わなければならないので、1.25倍での計算となります。したがって、基本給については、20万4000円÷170時間×1.25×40時間=60000円が割増賃金となります。
 それに対し、業績手当の方は、「210時間働いた結果、4万2000円支払われる」と考え、残業時間に対する賃金1.00倍も含まれます。よって、業績手当については、4万2000円÷210時間×0.25×40時間=2000円が割増賃金となります。
グルメキャリー279号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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