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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「1時間遅刻して1時間残業した場合、割増賃金はどうなるか」

質問1

Q.

 15時始業、24時終業(休憩1時間)実働8時間のシフトだった日に、都合で1時間遅刻しました。その日は忙しく、1時間残業して上がりました。この場合、残業手当はつくのですか。
【25才 女性】
答え

A.

 労働基準法では、1日8時間、1週40時間を労働時間の上限として定めています(法定労働時間)。使用者(お店の側)が法定労働時間を超えて働かせた場合、25%以上の割増率で計算した割増賃金を支払う義務が発生します。いわゆる残業手当とは、この法定時間外労働に対する割増賃金のことです。
 労働時間の算定にあたり、労働基準法では「実労働時間主義」を採っています。これは、元々の始業時刻・終業時刻にかかわらず、「実際に労働した長さ」によって、労働時間を算定することです。始業時刻前の早出や、終業時刻後の残業があっても、遅刻・早退・私用外出の時間があればそれを控除して労働時間を算定し、1日8時間を超えていなければ割増賃金は不要となります。
 ご質問のケースは、1時間遅刻して、1時間残業しているので、いわば1時間が相殺されることになります。結果的には実働8時間のままであり、残業手当はつかないことになります。(ただし、就業規則によっては、始業時刻前・終業時刻後の勤務に対し、実働時間にかかわらず手当をつけるよう規定していることもあります。使用者側に立つと、マズい規定のつくり方と言えます…)
 ところで、『労働時間の長さ』については、当初のシフトどおりだったので、残業手当はつきませんが、『労働した時間帯』については注意が必要です。労働基準法では、22時から翌朝5時までの深夜時間帯に労働させた場合、25%以上の深夜割増賃金が必要です。当初のシフトにおける深夜労働は22時から24時までの2時間でしたが、実際の深夜労働は22時から25時までの3時間だったことになります。
 以上をまとめると、「残業(労働時間の長さ)」に対する割増賃金はつかないが、「深夜労働」に対する割増賃金は1時間分多くつくことになります。
 さらに付け加えると、いくら遅刻と残業が相殺されるといっても、それは給与計算における話だけです。いくら残業しても、遅刻した事実が消えるわけではありません。遅刻の理由によっては、懲戒処分の対象になったり、人事査定に影響したりはありえることですので、心得ておかなければなりません。
グルメキャリー281号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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