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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「慶弔見舞金規程にもとづいて支給される結婚祝金は「賃金」か」

質問1

Q.

 先日、結婚をしました。お店からは慶弔見舞金規程にもとづき、結婚祝金をいただきました。ところで、この祝金は賃金なのですか。賃金だとすると、割増賃金の基礎になるのでしょうか。また、社会保険料の計算には含まれますか。
【25才 女性】
答え

A.

 労働基準法11条には、賃金の定義として、「名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」と定めています。一般的には、結婚祝金のようなものは、「労働の対償(いわば対価)」というイメージはあまりないでしょう。では、労働基準法上の「賃金」ではないのでしょうか。
 この点について、行政解釈によると、「結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金等の恩恵的給付は、原則として賃金とみなさないこと。ただし、結婚手当等であって労働協約、就業規則、労働契約等によってあらかじめ支給条件の明確なものはこの限りでない」としています。たとえば、小規模な会社の社長さんが、規程もなにもないのに、気まぐれ的にポンっと結婚祝金をくれた場合には、恩恵的給付となり、労基法の「賃金」にはあたりません。一方、支給条件や支給額が明確に慶弔見舞金規程等で定められている場合には、「賃金」となります。したがって、ご質問のケースにおける結婚祝金は、労基法における「賃金」だったことになります。
 このように、法条文にある「労働の対償」とは、「働いた分の対価」というイメージにとどまらず、「労働契約関係において、使用者が労働者に支払を約束した給付」と言うことができます。
 ただし、慶弔見舞金が「賃金」にあたるとは言っても、基本給等とまったく同じ扱いになるわけではありません。
 まず、割増賃金についてです。割増賃金は、その算定の基礎から除くことのできる賃金として、(1)家族手当(2)通勤手当(3)別居手当(4)子女教育手当(5)住宅手当(6)臨時に支払われた賃金(7)1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金、の7つが限定的に列挙されています。結婚祝金等の慶弔見舞金は、「支給条件はあらかじめ確定されているが、支給事由の発生が不確定であり、かつ非常にまれに発生するもの」として、「臨時の賃金」にあたるとされ、割増賃金の基礎には入りません
 次に社会保険料についてです。健康保険・厚生年金保険ともに、各法律で定義される「報酬」に該当すると、保険料を計算する際に用いる標準報酬月額の決定に用いられます。結婚祝金等は、事業主が恩恵的に支給される場合は報酬に該当しません。労働の対償として支給される場合であっても、常態として受け取るものではないでので、同じく報酬に該当しません。雇用保険料については、就業規則・労働協約等の定めがあるとないとを問わず「賃金」としない扱いとなっていて、保険料算定には含まれません。(お店側だけ負担する労災保険料についても、雇用保険料と同様に、保険料算定に含まれません)結論としては、社会保険料すべてについて、結婚祝金は保険料計算には含まれません
グルメキャリー282号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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