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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「業績悪化による賞与不支給に対する、賞与請求権」

質問1

Q.

 私の勤めるお店は、毎年6月と12月の年2回、賞与が支給されていました。ところが、ここのところ業績が悪化してきたため、今年の12月は、賞与は全員不支給になると、通知がありました。私たちにも生活があるのに、一方的に賞与を支給しないなんてことが許されるのですか。   
【27才 男性】
答え

A.

 ポイントとなるのは、就業規則(賃金規程)において、賞与の支給基準が明確になっているかどうかです。それによって、あなたに賞与の請求権の有無が決まります。
 賞与は、就業規則等により支給することが制度となっている場合には、労働基準法に定義される「賃金」にあたることになります。逆に言えば、就業規則等に規定がなく、任意的・恩恵的に、いわば社長の気まぐれで支給されるものは、たとえ賞与と呼んでいても、労働基準法上の「賃金」ではありません。
 ただし、賞与が賃金にあたる場合であっても、支給基準が明確になっていなければ、労使の合意、または使用者(お店の側)による決定により具体的な金額が決まらない限り、賞与の請求権は発生しないことになります。
 たとえば、就業規則に「毎年、6月と12月に、基本給の3ヶ月分を賞与として支給する」と規定されていた場合、労働者には基本給3ヶ月分の賞与を請求する権利が発生します。いくらお店の業績が悪化しようが、使用者は規定どおりに計算した賞与を、なにがなんでも支給しなければなりません。
 一方、「毎年、6月と12月に賞与を支給する」とだけ規定されている場合はどうでしょう。多くの裁判例では、具体的な金額を特定することができない以上、具体的な賞与請求権は発生しないとしています。さらには、「会社の業績の低下その他やむを得ない事由がある場合には、賞与を支給しないことがある」とまで規定されている場合には、ますます賞与請求権を主張するのは難しいでしょう。
 たしかに、かつての日本企業では、「賞与は基本給の○ヶ月分」といった決め方が一般的であり、賞与は「生活保障給」としての意味が大きかったものです。しかし、近年は、成果主義的な賃金制度への移行が進むにしたがい、賞与に込められる意味合いは、会社や部門の業績への連動や、個人の貢献度・成績を反映するためのものへと、変化しつつあります。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 賞与は、法律上、支給が義務づけられているものではありません。それだけに、どういった思いを込めて支給しているのか、今一度見直してみてはいかがでしょうか。賞与に込めるその思いによって、どのように規定するべきか、おのずと決まってくるはずです。
グルメキャリー293号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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