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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「給与を、複数の口座に分けて振り込んでもらうことは可能か」

質問1

Q.

 現在、給与は銀行口座への振込となっています。実は、妻には内緒で、自由に使えるお金を作りたいと考えているのですが、お店に頼んで、給与を2つの口座に分けて振り込んでもらうことは可能でしょうか。
【38才 男性】
答え

A.

 結論としては、給与を複数の口座に分けて振り込むことは、違法ではありませんが、一方でお店にはその要求に応じる義務もありません。したがって、お店側の対応しだいとなります。
 現在では、給与が口座振込になっていることについて、当たり前の感覚があるかと思います。しかし、実は口座への振込は、法律の上では、むしろ例外的に許されている方法なのです。
 労働基準法には、「賃金支払いの5原則」と呼ばれる、賃金の支払い方に関するルールが定められています(24条)。その中の一つに、「通貨払いの原則」というものがあります。賃金は通貨で支払わなければならないという原則であり、通貨とは紙幣や硬貨のことです。つまり、賃金は現金で支払わなければならないというのが、大原則なのです。
 その例外として、賃金を口座振込にすることが認められています。そのためには、労働者の同意を得て、労働者が指定する本人名義の口座に振り込まれる、といった要件を満たさなければなりません(労働基準法施行規則7条の2)。仮に、お店の側が、全従業員に口座振込にしようと思っても、同意をしなかった労働者に対しては、現金で支払わなければならないということです。
 また、行政通達では、労働者代表とお店との間で、口座振込をすることについて労使協定を締結すること、賃金支払日に賃金支払に関する計算書(給与明細書)を交付すること、賃金支払日の午前10時ごろまでには引き出し可能になっていること、等を求めています。
 以上の規制に従うことで、お店の側は、給与を口座振込にすることが可能となります。しかし、複数口座に分けて振り込むことについては、法令においては、特に定められていません。労働者からの希望に応じて複数口座に振り込むことも可能です。一方、希望に応じる義務もありません。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 給与の口座振込は、もはや当たり前のように行っているかもしれませんが、法的にはあくまでも例外的な支払方法です。まずは、入社時に、振込に同意したという書面を、必ず取るようにしてください。複数口座への振込希望については、本文のとおり、お店が対応するもしないのも自由です。
グルメキャリー316号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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