
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「非常時に認められる支払期日前の賃金請求権」

Q.
娘が急病にかかり、病院に運ばれました。治療費が高額になったのですが、給料日の直前でお金がありません。こんなとき、勤務先から給料の前借りをすることはできませんか。
【31才 女性】

A.
本来、労働者は賃金支払期日(給料日)の前に、賃金支払の請求をすることはできません。しかし、非常の事態が起きたとき、思わぬ出費が発生することがあります。そのときには、支払期日前であっても既往の労働(すでに働いた分)に対する賃金を請求できることが、労働基準法25条に定められています。ここでいう非常時とは、(1)出産・疾病・災害を受けた場合、(2)結婚・死亡した場合、(3)やむを得ない事由により1週間以上帰郷する場合、が挙げられています。これらの事由は、労働者本人に関するものに限らず、その収入によって生計を維持する者についても含みます。ご質問のケースにつきましても、たとえ給料日前であっても、すでに働いた分の賃金は請求できるでしょう。なお、この規定は賃金の「前借り」を認めるという意味ではありません。
グルメキャリー87号掲載
飲食店オーナー・経営者のみなさまへ


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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