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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「営業時間終了後の新メニュー研修の時間は労働時間にあたるか」

質問1

Q.

 先日、お店の営業時間終了後、全スタッフ参加で、新メニューの研修会がありました。ところが、この研修会の時間に対して賃金は支払われません。店長からは、「研修は労働時間じゃないんだから、給料が支払われるわけないだろう」と言われました。これは正しいのでしょうか。
【27才 男性】
答え

A.

 
 結論としては、店長の言うことは間違っています。このケースでの研修は労働時間にあたり、使用者(お店の側)には、賃金の支払義務があります。
 そもそも「労働時間」とは、どんな時間のことでしょうか。最高裁判例によると、「労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいう」としています。具体的には、使用者から義務付けられていた(強制)か、場所的拘束があったか、業務性があったか等から、「指揮命令下に置かれている」か否か判断されます。
 また、先の最高裁判例では、労働時間であるかどうかは「客観的に定まるものであり、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない」とも示しています。つまり、いくら「この時間は労働時間である、この時間は労働時間ではない」と就業規則で定めたり、個別に同意があったりしても、それは意味がないということです。客観的に「労働時間である」と評価されれば、当事者間でどんな約束をしていても、それは労働時間ということになるのです。
 さらに、就業時間外の教育訓練に関する時間について、行政通達により、「労働者が使用者の実施する教育に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益取扱いによる出席の強制がなく自由参加のものであれば、時間外労働にはならない」とされています。
以上を踏まえますと、ご質問の新メニューの研修にかかる時間は、全スタッフの参加が義務付けられ、お店で行われ、業務とも密接に関係するのですから、明らかに労働時間となり、賃金の支払義務が発生します。研修が法定労働時間外に行われたのなら、割増賃金も必要です。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 労働時間にあたるかどうかのポイントは、「指揮命令下に置かれているか」と「客観的に決定される」という点です。研修のほかにも、朝礼や作業開始前の準備行為、作業後の片付けも同様の観点で判断されます。今一度、店舗での取扱いが正しいか見直してみてください。
グルメキャリー308号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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