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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「年少者に、非常事由により時間外労働・深夜労働等をさせられる場合」

質問1

Q.

 飲食店でアルバイトをしている高校生です。18歳未満は、法定時間外労働や深夜労働をできないとのことで、いつも22時までには退勤することになっています。先日、22時少し前に、お客様が一気に来店され、突発的なピークとなりました。店長からは、「臨時の必要があれば、18歳未満でも深夜業をしてもいいんだ」と言われ、そのまま働き続けました。これは正しいのでしょうか。
【17才 男性】
答え

A.

 
 店長の言っているのは、非常事由による、臨時の必要がある場合の時間外労働等のことと思われますが、その解釈は間違っています。
 まず、18歳未満の年少者に対し、法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えた労働、法定休日(1週1日または4週4日)の労働、深夜時間帯(22時から翌朝5時)の労働をさせることは、労働基準法により原則として禁止されています(60条、61条)。
 一方、災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合においては、その必要の限度において、法定労働時間を超えて、または法定休日に労働させることができる、という規定があります(33条)。この規定は、年少者にも適用され、その場合には深夜業の労働も可能となります。しかし、この規定は、あくまでも通常時の予測を超える非常災害等に対応するために定められたものであり、そうそう簡単には適用されるものではありません
 条文を詳しく見ていきます。まず、「災害」とは、事業場において通常発生する事故は含まれず、暴風雨、地震、津波、落雷等の自然災害火災、爆発、機械故障等、人の身体生命や企業の財産に危害を及ぼしうる事故のことです。また、「その他避けることのできない事由」とは、業務運営上通常予想しえない事由がある場合をいいます。
 次に、「臨時の必要がある場合」とは、たとえ避けることのできない事由による場合であっても、それが恒常的なものである場合はあてはまらないということです。恒常的に起こる事由であれば、日ごろからそれに応じた措置を講じておくべきだからです。
 以上のように、非常事由による時間外労働が認められるのは、どうしようもないぐらいの緊急事態の場合であり、厳格に判断されます。ご質問のように、一気に来店客があったというレベルのケースを想定しているものではありません。行政解釈でも「単なる業務の繁忙その他これに準ずる経営上の必要は認めないこと」と示しています。
 なお、この規定を適用するためには、労働基準監督署長の許可を受けなければなりません。ただし、事態急迫のために許可を受ける暇がない場合には、事後に遅滞なく届け出なければならないとしています。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 法33条の非常事由に関する規定は、そうそう使えるものではないものとお分かりいただけるでしょう。やはり、年少者には、法定時間外労働、法定休日労働、深夜労働をさせることはできないという原則を、しっかり理解しておきましょう。
グルメキャリー315号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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