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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「閉店後、営業日報を作成する時間は労働時間か」

質問1

Q.

 飲食店の店長です。毎日、営業終了後、クローズ作業後に、タイムカードの退勤打刻をしてから、営業日報を作成しています。そして、その営業日報を提出してから、帰宅することになっています。営業日報を作成する時間は労働時間ではないのですか。
【32才 男性】
答え

A.

 
 会社から営業日報の作成・提出を指示され、義務づけられているのなら、それに要する時間は労働時間になり、賃金の支払義務もあります。
 労働基準法における「労働時間」の定義は、最高裁判例によると、「労働者が使用者(お店の側)の指揮命令下に置かれている時間」とされています。より具体的には、事業所内において使用者から一定の行為を義務づけられていた場合、またはそれを余儀なくされた場合には、使用者の指揮命令下にあったものと扱われます。これは、本来的な業務のみならず、事前の準備や後片付け等の行為も含みます。
 そして、もう1点、最高裁は重要なことを示しています。それは、「指揮命令下に置かれているか否かは、『客観的に』定まる」ということです。つまり、「○○の作業は、労働時間として扱わない」と、たとえ就業規則に規定していたとしても、または、たとえ個別に労働者と合意が成立していたとしても、『客観的に』労働時間であると判断された場合には、それらの規定や合意はムダであるということです。
 以上を踏まえて、ご質問のケースを考えてみましょう。営業終了後に、お店で営業日報を作成することが義務づけられ、提出してからでないと帰宅することが許されていないということは、その時間は「使用者の指揮命令下にある時間」と評価され、「労働時間」にあたるというわけです。また、たとえ、タイムカードの退勤打刻をしてから作業することがルールとなっていたとしても、客観的に労働時間と判断されることには変わりません。そして、その作業に要する時間には賃金の支払が必要となります。さらに、それが法定労働時間(1日8時間、1週40時間)を超えての労働であれば、割増賃金の支払が必要となります。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

 このケースのように、タイムカードを切ってから営業日報を書かせているお店もあるようです。しかし、それはトラブルの原因になるので、早急に改善するべきです。
グルメキャリー328号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201

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