
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「「朝礼」は労働時間にあたるのか」

Q.
私の勤めるお店では、正社員もアルバイトも、毎日始業5分前に朝礼として接客用語の唱和をし、それが終わってからタイムカードを押して仕事に入ります。この朝礼は労働時間にならないのですか。
【24才 女性】


A.
飲食業では、このように始業時に朝礼で接客用語を唱和するお店が多くあります。結論としては、この朝礼への参加が強制されている以上、労働時間として扱わなければいけません。法律上の労働時間とは、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」をいいます。朝礼が事実上強制されている場合は、それは指揮命令下にある時間となります。参加が自由で、不参加でもペナルティがないという場合でなければ労働時間となります。たとえ、お店の決まりで労働時間としないと規則を作っていても、「労働時間に該当するか否かは、客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則等の定めのいかんにより決定されるものではない」とされています。たとえ5分だけとはいえ、積み重なると相当な時間になります。お店の方からは、「朝礼は労働している時間ではない」「仕事の前に朝礼で接客用語を声に出すのは当たり前のことだ」という声が返ってきそうですが、こういう発想はあらためるべきでしょう。
グルメキャリー84号掲載
飲食店オーナー・経営者のみなさまへ


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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