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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「お店に年休の買上げ義務はあるか」

質問1

Q.

 有給休暇は、本当はすべての働く人に発生していると聞きました。でも、私の働いているお店では、全然使うことができません。こんな場合、お店は使えなかった有給休暇を買い取る義務はないのですか。
【29才 女性】
答え

A.

 「うちの店には有給休暇なんぞない!」と平気で言う経営者がいますが、これは間違いです。お店に制度がないといったところで、労働基準法の規定により、一定の要件を満たした労働者には、当然に年次有給休暇(年休)を取る権利が発生します。では、お店の方は、この年休を使わせない代わりに、その権利を金銭で買上げることはできるのでしょうか。答えは、年休を買上げることは違法となります。なぜなら、年休の目的は、心身の疲れを回復し、その後の働くための力を養うことだからです。金銭を払ったところで、この目的を達成することはできません。
 ただし、例外として次の3つの場合は、買上げも可能とされています。まず1つ目は、年休は権利発生から2年で時効により消滅しますが、時効消滅した分については買上げることが可能です。2つ目は、退職によって、使い切れなくて消滅する年休についてです。3つ目は、労働基準法で定められた日数を上回って与えられる有給休暇は、法律の規制が及びませんので、買上げ可能です(もっとも、法定の年休もなかなか取れないようなお店で、法律以上の社内制度があるとは、あまり考えられませんが)。
 1つ目にしても、2つ目にしても、使えなくなった日数については、法律の関与することではありません。買上げるかどうか、買上げるとしていくらで買上げるか、については当事者間(お店と労働者)の問題となります。ただし、この場合でも買上げが「違法にならない」だけであって、お店に買上げる義務が発生するわけではありません。また、買上げをお店のルールとしてしまうと、結果として年休の取得を抑えつける(取りづらくなる)ことにつながるので、許されません。
グルメキャリー145号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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