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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「当日病欠の年休振替えで皆勤手当不支給は許されるか」

質問1

Q.

私のお店では、出勤日当日に急病になり有給休暇を取った場合には、皆勤手当がもらえなくなります。これは問題ありませんか。
【31才 男性】
答え

A.

いくつかポイントがあるので、分けて考えていきましょう。
(1)出勤日の朝に病気を理由に年次有給休暇(年休)は使えるか
 一般的には、朝起きて熱があった場合などには、年休が許されると思われているようです。しかし、実は原則的にはその考えは誤りです。なぜなら、年休は「一日」を単位としているものであり、労働者が年休を取得する際は、あらかじめ「何月何日に取得します」と指定しなければいけないからです。当日の朝に「今日年休を取りたい」と言っても、その「一日」は午前0時にすでに始まっているので、もはや『あらかじめ』ではありません。よって、当日の朝になって出勤できなければ、それは欠勤となってしまいます。ただし、使用者(お店の側)が認めた場合には、事後的にその欠勤を年休に振替えることは許されます。あなたのお店でも、厳密には、まずはいったん欠勤となった日を、事後的に、年休に振替えてくれているというわけです。
(2)年休取得した場合に皆勤手当をカットできるか
 労働基準法には、年休を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならないと定められています(附則136条)。判例によると、「年休の権利行使を抑制し、年休取得の権利を保障した趣旨を実質的に失わせるもの」を不利益取扱いと判断しています。つまり、「年休を取ることに、ためらいを感じるほどの取扱い」は、実質的に権利行使を抑制することになり、不利益取扱いになるということです。一般的には、年休取得により皆勤手当を不支給とするのは、不利益扱いとなり許されないと考えるべきでしょう。
(3)ご質問のケースについて
 まず、当日病欠について、本人から希望があっても、お店の側は年休に振替える義務はなく、本来は欠勤として扱っても何ら問題はありません。しかし、年休に振替える以上は、不利益取扱いは許されず、皆勤手当の不支給も許されません。結論として、お店は、「欠勤として扱う」のか「年休に振替えて、かつ皆勤手当も支給する」のか、どちらかしかありません
グルメキャリー201号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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