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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「年次有給休暇取得日の通勤手当をカットできるか」

質問1

Q.

私は時給制アルバイトですが、働いている日数が多いので、通勤手当は1ヶ月分の定期券代を支給されています。お店では、アルバイトが有給休暇を取った日、賃金は平均賃金1日分が支給されますが、通勤手当が1日分カットされます。これでは、定期券代に足りなくなるので、なんとなく納得いかないのですが。
【26才 女性】
答え

A.

有給休暇は、「有給」という名のとおり、使用者(お店の側)は、取得日に対して賃金を支給しなければいけません。労働基準法にもとづく年次有給休暇(年休)を取得した日に対する賃金は、(1)労基法12条による平均賃金 (2)所定労働時間に対して支払われる通常の賃金 (3)健康保険法に定める標準報酬日額、の3つのうちいずれかを、あらかじめ就業規則等で定めた上で支給しなければなりません((3)の場合には労使協定の締結も必要)。月給制の場合には、通常の賃金(賃金計算上は、休暇を取らず出勤したのと同じ処理)が一般的ですが、1日の所定労働時間がまちまちな時給制アルバイトには、平均賃金を選択しているお店も多いでしょう。
 平均賃金とは、直近の3ヶ月間に支払われた賃金総額を、3ヶ月間の総日数で割った金額です。この分子にあたる「賃金総額」には、通勤手当も含まれます。つまり、計算された「平均賃金」には、通勤手当の要素も含まれていることになります。
 さて、年休取得日に対する賃金を、平均賃金で支給する場合において、もし、通常の通勤手当(この場合、1ヶ月分定期券代)を1ヶ月分満額で支給すると、その日は通勤手当に相当する部分が二重に支払われることになります。この点、行政通達では、「年休取得日に平均賃金を支払う場合において、『月または週によって支給される賃金』があるときは、その『月または週によって支給される賃金』については、その1日あたりの額を差し引いた額を支給すればよい」としています(この通達では、1日あたりの額を差し引かずに二重払いになっても、法律上はもちろん差し支えない、とも付け加えています)。
 したがいまして、ご質問のケースの場合、平均賃金を支給された日は、その中にすでに通勤手当が含まれているわけですから、1ヶ月分の通勤手当から、年休を取得した日数分を差し引いても、違法ではないということです。
グルメキャリー202号掲載
図1
イラスト

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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