
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「新メニュー研修の日に、年次有給休暇の取得は許されないか」

Q.
チェーン飲食店の店舗で、調理主任をしています。今度、全店の調理主任が出席する新メニューの研修会があります。その日はもともと有給休暇を取るつもりだったのですが、上司からは「調理主任が研修で得た調理法を、店舗に持ち帰り、スタッフに伝えなければいけないんだから、有給休暇なんて取れるわけないだろう」と言われました。私はあきらめるしかありませんか。
【30才 男性】

A.
年次有給休暇(年休)は、労働者が「何月何日に年休を取ります」と、時季指定権を行使することで、成立します。しかし、使用者(お店の側)は、事業の正常な運営を妨げる場合には、「その日はダメだから別の日にしろ」と、時季変更権を行使することができます。この「事業の正常な運営を妨げる」場合とは、単に忙しいからという程度では認められません。年休を取れるように使用者がさまざまな配慮をしたにもかかわらず、どうしても取らせてあげられないといった状況で、はじめて認められます。
では、ご質問のような研修への参加が必要なケースはどうでしょうか。最高裁判例によると、労働者がその研修を受けないと、予定された知識、技能の修得に不足を生じさせる場合には、時季変更権を行使できる、としています。研修に参加しないと、あなたは調理主任としての必要な技術を修得することができず、お店にその技術を持ち帰ることもできなくなります。これは、「事業の正常な運営を妨げる」と判断され、時季変更権の行使が有効となると考えられます。つまり、あなたはこの日の年休取得をあきらめなければいけないと判断される可能性が高いでしょう。
では、ご質問のような研修への参加が必要なケースはどうでしょうか。最高裁判例によると、労働者がその研修を受けないと、予定された知識、技能の修得に不足を生じさせる場合には、時季変更権を行使できる、としています。研修に参加しないと、あなたは調理主任としての必要な技術を修得することができず、お店にその技術を持ち帰ることもできなくなります。これは、「事業の正常な運営を妨げる」と判断され、時季変更権の行使が有効となると考えられます。つまり、あなたはこの日の年休取得をあきらめなければいけないと判断される可能性が高いでしょう。
グルメキャリー211号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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