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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「有期雇用労働者産休を取れるか」

質問1

Q.

 雇用期間1年の有期雇用従業員として、飲食店で働いています。更新は何度か繰り返して3年ほど継続勤務しています。先日、妊娠していることが分かり、産休が取れるかどうか店長に相談したところ、「産休中に契約期間が終了するし、その後、契約更新するかどうかも分からないんだから、産休を取るならその時点で退職だ」と言われました。これは本当ですか。
【29才 女性】
答え

A.

 その店長の言っていることは、間違っています。
 産休は、労働基準法において、産前休業と産後休業として定められています。産前休業は、出産予定日の6週間前(双子以上の妊娠の場合は14週間前)から、労働者が請求することで取得することができます。また、産後休業は、出産日の翌日から8週間となります。この8週間のうち、最初の6週間は、本人がいくら働きたいと希望しても、強制的に休業しなければなりません。6週間経過後の残り2週間については、本人が働きたいと希望して、医師が健康に支障なしと認めた場合には就業可能となります。
 この産前・産後休業の最大の目的は、「母体の保護」です。したがって、雇用期間が終了するのが明らかだからという理由で、使用者(お店の側)は、産前休業の請求を拒むことはできませんし、産後も働かせるわけにはいきません。雇用期間がすぐ終わる者の母体は保護しなくてよい、という理屈は通らないからです。
 また、この店長のように、産前産後休業を取ろうとしたことを理由に、退職を迫ることは、男女雇用機会均等法により禁止されている解雇その他不利益な取扱いに該当し、違法行為となります。
 一方、似て非なる制度ですが、育児介護休業法にもとづく育児休業については、少し様子が異なってきます。有期労働者が、育児休業を取るためには、①継続雇用1年以上であること ②子が1才に達する日を超えて雇用されることが見込まれること ③1才に達する日から1年を経過する日(2才に達する日の前日)までに雇用期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと、の3点を満たさなければなりません。なぜなら、育児休業の法的趣旨は、「雇用の継続」だからです。育児休業取得後に復職しないことが明らかな者にまで、取得させる必要はないということです。ただし、育児休業中に契約期間が満了する場合でも、その後、更新の可能性がゼロでなければ、②の条件においては、1才に達した後も雇用の「見込みアリ」と判断されます。
グルメキャリー213号掲載
イラスト

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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