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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「無断欠勤した日を年次有給休暇に振り替えできるか」

質問1

Q.

一身上の都合により、5月31日を退職日とする退職願を提出し、お店の承諾を得ました。その後、店長とケンカをして、5月27日以降無断欠勤をし、そのままバックれる形で退職しました。退職後、支払われた給与明細書によると、無断欠勤をした5日分は欠勤控除されていました。でもよく考えると、在職中に取得できなかった有給休暇が5日以上残っています。今から5日分は有給休暇を取得したことにしてもらえないのでしょうか。
【24才 男性】
答え

A.

 バックれるような形で退職をしたなどとは、もってのほかです。しかし、それを抜きにしても、いったん欠勤をした日について、後から年次有給休暇(年休)に振り替えることは、お店が承認しない限りはできません。
 労働者は、権利として発生している年休について、「何月何日に年休を取ります」と具体的な取得日を指定することによって、権利を行使することができます。この指定する権利のことを時季指定権といいます。
  一方、使用者(お店の側)は、その指定された日に年休を取得されると、事業の正常な運営を妨げる場合には、取得日を別の日に変更させることができます。これを時季変更権といいます。
 労働者にとって年休の権利は強力なもので、使用者が時季変更権を行使しない限り、使用者があらためて承認や許可をすることなくても、年休は成立します。しかし、いくら労働者の強力な権利とはいえ、使用者には時季変更権を行使するかどうか判断する時間が必要です。したがって、労働者が「何月何日に休みます」と時季指定権を行使するには、少なくとも年休取得希望日の前日までに(具体的には前日の終業時刻までに)申し出る、すなわち『あらかじめ』指定することが必要となります。
 よく、急な病気で欠勤した後、事後的に年休に振り替えてもらったという話を耳にします。あれは、いったん欠勤という事実が発生したものの、労働者から振替の申出に対し、使用者が承認することで、はじめて振替が成立しているのです。使用者としては、必ず振替を承認しなければいけないわけではありません。
 以上のとおり、欠勤を年休に振り替えることは、お店が承認すれば可能です。しかし、無断欠勤をしてそのまま退職したあなたがいくら申し出たところで、お店が承認するとは、とても考えられません。
グルメキャリー217号掲載
イラスト

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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