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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「休職期間中に、産前休業を取得できるか」

質問1

Q.

  2ヶ月前から、体を壊して休職中です。まもなく出産予定日の6週間前にかかるので、法律上の産前休業期間にかかります。休職中の私も、産前休業を取ることができるのでしょうか。
【27才 女性】
答え

A.

   労働基準法の定めにより、産前6週間(双子以上の多胎妊娠の場合は14週間)の女性労働者から請求があった場合、産前休業を与えなければなりません(労基法65条1項)。出産日当日は産前に含まれ、予定日より遅れて出産した場合は、産前休業はその分延長されます。一方、出産日の翌日から8週間は、請求がなくても就業させることはできず、産後休業を与えなければなりません。ただし、産後6週間を経過した(つまり、産後8週間のうち残り2週間)女性労働者が働きたいと申し出て、医師が働かせて支障がないと認めた場合には、就業させることが可能です。(同条2項)。
 さて、私傷病(業務外のケガや病気)による休職中は、労働の義務が免除されている期間です。そうすると、すでに労働の義務が免除されているのに、産前休業を取ることができるかどうかが問題となります。この点について、行政通達によると、「産前休業の請求を行うためには就労していることが前提要件とはならない」と示されています(昭25・6・16基収1526号)。つまり、休職期間中でも産前休業を取ること(いわば、休職から産前休業に切り替え)は、可能ということです。
 注意が必要なのは、年次有給休暇(年休)については、「労働義務がない日について年休を請求する余地はない(昭24・12・28基発1456号、昭31・2・13基収489号)として、休職期間中に年休は取得できません。この点で、産休と年休の扱いは異なります。
 休職から産前休業に切り替えることで考えられるメリットは、年休の発生要件が挙げられます。年休の権利が発生するためには、発生基準日の直前1年間(初回は入社から6ヶ月間)の出勤率が8割以上であることが必要です。休職期間中は、一般に出勤率の計算上、分母の所定労働日数からも分子の出勤日数も除かれます。一方、産前産後休業期間中は、「出勤したもの」として出勤率を計算しますので、こちらの方が有利な計算となります。また、「産前産後休業期間中とその後30日間は解雇してはならない」という解雇制限(労基法19条)の適用が受けられるという利点もあります。
 なお、先述のとおり、産後休業については、強制的に取らなければならないものです。あなたが請求しなくても、実際の出産日の翌日からは自動的に産後休業となります
グルメキャリー271号掲載
イラスト図

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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