
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「振り替えた後の休日が先に来る、振替休日はありえるか」

Q.
店長から、業務の都合により、休日の振替を命じられました。振り替えた結果、休日の方が、出勤日より先になるのですが、普通は振替休日の方が後に来るものではないのですか。
【32才 女性】

A.
確かに、先にある「もともと休日だった日」と、後にある「もともと出勤日だった日」を『振り替える』ことが多いと思われますが、振替の要件を満たす限りは、その逆でも問題ありません。
休日の振替とは、休日として定められていた日と、出勤するべき日と定められていた日(労働日)を、『事前に、』そっくりと入れ替えることです。結果として、もともと休日だった日は、振替により、もはや労働日となっていますので、その日の労働は「休日労働」とはなりません。とはいえ、必ずしも割増賃金が不要というわけではなく、週をまたいで振り替えた場合に、労働日が増えて1週間の労働時間が40時間を超えるようなら、法定時間外労働として割増賃金が必要です。休日の振替は、就業規則の規定に基づくか、労働者の同意により行われます。
一方、いったん休日労働をした後、『事後的に』別の労働日をお休みにしてあげる場合、それは「代休」と呼ばれます。代休を与えたところで、休日労働をした事実は消えませんので、その休日が法定休日だった場合には、1.35倍の割増賃金が必要となります。
さて、振替休日に話は戻りますが、いくら事前にとは言え、やはり休日の直前になってから、「明日の休日は出勤してくれ!」と、ギリギリになってから命じられることが多いでしょう(いわば、休日の繰下げのケース)。したがって、一般的には「もともとの休日」が先のことが多いものです。もちろん、前々から休日の出勤が必要なことが見通せていた場合には、先にある労働日に休ませる形で振り替えることも(いわば、休日の繰上げ)、問題ありません。
休日の振替とは、休日として定められていた日と、出勤するべき日と定められていた日(労働日)を、『事前に、』そっくりと入れ替えることです。結果として、もともと休日だった日は、振替により、もはや労働日となっていますので、その日の労働は「休日労働」とはなりません。とはいえ、必ずしも割増賃金が不要というわけではなく、週をまたいで振り替えた場合に、労働日が増えて1週間の労働時間が40時間を超えるようなら、法定時間外労働として割増賃金が必要です。休日の振替は、就業規則の規定に基づくか、労働者の同意により行われます。
一方、いったん休日労働をした後、『事後的に』別の労働日をお休みにしてあげる場合、それは「代休」と呼ばれます。代休を与えたところで、休日労働をした事実は消えませんので、その休日が法定休日だった場合には、1.35倍の割増賃金が必要となります。
さて、振替休日に話は戻りますが、いくら事前にとは言え、やはり休日の直前になってから、「明日の休日は出勤してくれ!」と、ギリギリになってから命じられることが多いでしょう(いわば、休日の繰下げのケース)。したがって、一般的には「もともとの休日」が先のことが多いものです。もちろん、前々から休日の出勤が必要なことが見通せていた場合には、先にある労働日に休ませる形で振り替えることも(いわば、休日の繰上げ)、問題ありません。

飲食店オーナーの方へ
ポイントとしては、就業規則に振替休日の規定がないと、その都度、労働者の同意が必要となること、必ず事前に振り替える日を特定すること、「振替休日」と「代休」を混同しないこと、が挙げられます。
グルメキャリー329号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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