
「退職時に残った年次有給休暇を一括消化する具体例」

Q.
3月31日をもって退職することになりました。それまでに、残っている有給休暇を消化したいと考えています。私の残り日数は15日分なので、3月16日を最終出勤日として、3月17日~31日を有休消化という計算で間違いないでしょうか。
【28才 男性】

A.
これでは、残った日数を全部消化したことにはなりません。このカウントでは、休日にも休暇を取っていることになるからです。
「休暇」とは、「労働義務のある日について、権利として、その労働義務を免除されること」です。したがって、もともと労働義務のない「休日」については、休暇を取ることはできません。年次有給休暇(年休)もその例外ではありません。
カレンダーを見ながら具体例を考えてみましょう。仮に、あなたの休日が毎週火曜日と水曜日であったとします。そうすると、3月17日~31日の間に、火・水は4日あるので、この間に年休を取ったとしても、消化した日数は実は11日分だということになります(図1)。15日分フルに消化したいのなら、もっと早くから休暇を取るか、退職日を遅らせるかしかありません。前者なら3月11日~31日で取得(図2)、後者なら3月17日~4月6日で取得(図3)となります。
もっとも、退職時に一括して年休を消化することは、法律上認められていることとは言え、お店の側にしてみれば、人員のやりくりに負担が生じることもまた事実です。くれぐれも、権利、権利で押し通すのではなく、お店とよく相談した上で、年休の取得日や退職日を決め、必要な引継ぎをしっかりして、円満に退職するようにしてください。
「休暇」とは、「労働義務のある日について、権利として、その労働義務を免除されること」です。したがって、もともと労働義務のない「休日」については、休暇を取ることはできません。年次有給休暇(年休)もその例外ではありません。
カレンダーを見ながら具体例を考えてみましょう。仮に、あなたの休日が毎週火曜日と水曜日であったとします。そうすると、3月17日~31日の間に、火・水は4日あるので、この間に年休を取ったとしても、消化した日数は実は11日分だということになります(図1)。15日分フルに消化したいのなら、もっと早くから休暇を取るか、退職日を遅らせるかしかありません。前者なら3月11日~31日で取得(図2)、後者なら3月17日~4月6日で取得(図3)となります。
もっとも、退職時に一括して年休を消化することは、法律上認められていることとは言え、お店の側にしてみれば、人員のやりくりに負担が生じることもまた事実です。くれぐれも、権利、権利で押し通すのではなく、お店とよく相談した上で、年休の取得日や退職日を決め、必要な引継ぎをしっかりして、円満に退職するようにしてください。


飲食店オーナーの方へ
そもそも、退職時に一括して年休を請求することは許されるのでしょうか。使用者(お店の側)には、請求された日に年休を与えると事業の正常な運営を妨げることとなる場合には、取得日を別の日に変更させることのできる権利があります(時季変更権)。しかし、退職日が決まっている以上、それより後の日に変更させることはできません。結局、退職時の一括消化を拒否することはできないものと考えるしかありません。
また、退職時に一括消化をされては、余計なコストが一気に発生するとお考えになる経営者さんが多くいらっしゃいます。しかし、それは錯覚です。入社日と退職日が同じなら、毎月コンスタントに消化するのも、退職時に一気に消化するのも、在籍期間中に支払う賃金総額に変わりはありません。
また、退職時に一括消化をされては、余計なコストが一気に発生するとお考えになる経営者さんが多くいらっしゃいます。しかし、それは錯覚です。入社日と退職日が同じなら、毎月コンスタントに消化するのも、退職時に一気に消化するのも、在籍期間中に支払う賃金総額に変わりはありません。
グルメキャリー368号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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