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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「年次有給休暇を年に5日取得させる義務」

質問1

Q.

 先日、ネットニュースで、有給休暇を取得させなければならない法律ができたという記事を読みました。これはどういう制度か詳しく教えてください。
【26才 女性】
答え

A.

 「働き方改革関連法」の一つとして、平成31年4月以降、年次有給休暇(年休)を年間5日以上確実に取得させることが、使用者(お店の側)には義務づけられました。
 従来、年休は労働者が請求した日に与えることが大原則でした。しかし、職場の雰囲気によっては年休を取りづらい等の事情により、年休の取得率は低いものとなっていました。そこで、労働基準法が改正され、一定の年休が与えられる労働者に対して、年休の権利発生日(基準日)から1年間のうちに5日は、使用者が時期を指定して取得させることが義務づけられました。同時に、「年次有給休暇管理簿」を作成し、3年間保存することが義務づけられました。
 対象となる労働者は、年休が10日分以上発生している労働者であり、管理監督者や有期雇用労働者も含まれます。所定労働日数の少ないパート・アルバイトについては、その所定労働日数に比例して、年休の日数が与えられますが(比例付与)、こういったパート・アルバイトについても、10日以上発生する場合には対象となります。
 では、使用者は具体的にどのように年5日の年休を取得させればいいのでしょうか。まず一つ目は、労働者の意見を聴いた上で、取得させる日を決定する方法です。使用者の側から、「いつ年休を取りたいですか?」と労働者の希望を尋ね、「○月○日に休みたいです」という意見を聴取します。その上で「では、○月○日に年休を取ってください」と取得させる流れです。ポイントは、聴取した意見を尊重するよう努力しなければなりませんが、必ずしも希望した日に取得させなければならないわけではない点です。
 二つ目は、「計画年休」という制度の導入です。計画年休とは、使用者と労働者代表が労使協定を締結することで、使用者が計画的に取得日を決定することができる制度です。ただし、最低5日は、労働者が自由に取得できる日として残しておく必要があります。例えば、年休が11日発生している労働者に対しては、6日分を計画年休の対象にできるということです。一つ目の方法との違いは、労使協定の締結が必要ながら、労働者の意見を聴くことなく、使用者が一方的に取得日を決定出来るところです。
 ところで、労働者が年休を自ら請求して取得した日数分は、付与義務のある「5日」から控除されます。ということは、労働者が自ら5日以上取得していれば、使用者にとって「年5日年休付与義務」はクリアしたことになります。つまり、もともと年休の取りやすい職場で、誰もが5日以上取るのが当たり前になっていれば、今回の法改正は、使用者にとって痛くもかゆくもないものなのです。
 以上のように、「労働者から意見聴取の上での付与」「計画年休」「労働者自らの請求」のいずれかによって、とにかく年に5日取得させればOKというわけです。
飲食店オーナーの方へ

飲食店オーナーの方へ

今まで年休を取りやすい環境ではなかったお店にとっては、早急の対策が必要です。
 なお、年5日の年休を取得させなかった場合、30万円以下の罰金という罰則規定が定められています。この罰則は、対象労働者1人につき1罪とカウントされます。
対象労働者が20人いる店舗では、30万円×20人=600万円以下の罰金という計算です。
グルメキャリー377号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ
飲食業に強い社労士です!
久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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