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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「遺族年金を受けている母親を“扶養”にできるか」

質問1

Q.

先日、新しい就職先が決まりました。入社時の手続きの際、扶養家族として同居している私の母を申し出ました。ところが、お店の方からは、「所得税の扶養にはなるが、健康保険の扶養にはならない」と言われました。これはどういうことですか。母は、父に先立たれ、遺族厚生年金を受給しています。それ以外に収入はないため、私が扶養している状態です。
【32才 女性】
答え

A.

一般には一言で「扶養家族」と呼んでいても、所得税法上の「扶養親族」と健康保険法上の「被扶養者」では、対象となる親族の範囲や年収等の基準が微妙に異なります。
 まず、生計を同一にしている母親は、所得税でも健康保険でも“扶養”の対象となる親族の範囲です。 次に年収等の基準を考えます。所得税法では、合計所得金額が38万円以下であれば扶養親族となります。「所得」とは、「収入」から「必要経費に相当する金額」を差し引いたものです(よくパート収入のある配偶者を扶養に入れるためには「103万円の壁」があると言われますが、それは「パート収入103万円ー給与所得控除65万円=38万円」ということです)。実は、支給事由によって、同じ公的年金(基礎年金・厚生年金)でも、老齢年金は雑所得として課税対象なのですが、障害年金と遺族年金は非課税所得となっているのです。したがって、ご質問の場合、遺族厚生年金をいくら受給していても、それ以外に収入が無ければ、所得=0円となり、所得税法上の扶養親族となることができます。
 一方、健康保険における認定基準は、(1)認定対象者の年収が130万円未満(60才以上、障害者は180万円)、(2)その年収が、同居の場合は被保険者本人の年収の2分の1未満、別居の場合は被保険者本人からの仕送り額よりも少ないこと、となっています。そして、この場合の健康保険法上の年収には、障害年金も遺族年金も含まれるのです。ご質問のケースでは、年金額が結構高くて、この基準をオーバーしているものと考えられます。
  このように、所得税と健康保険では、年収の金額だけでなく、対象となるものが異なるので、一方でだけ“扶養”となるということが起こり得ます。
グルメキャリー131号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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