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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「休憩中トイレでのケガは労災になるか」

質問1

Q.

休憩時間中、店舗内のトイレで、すべって転んでケガをしました。これは仕事中のケガではないので、やはり労災にはなりませんか。
【25才 男性】
答え

A.

一般には、「仕事中のケガであれば労災を受けられる」と考えられています。この“仕事中”を正確に表現すると、「業務の遂行中、かつ、業務に起因して発生」となります。「業務遂行性」とは、具体的な業務の遂行中だけではなく、事業主の支配下・管理下にあることをいいます。事業主の管理下で業務の作業中は、業務遂行性が認められます。そして、その作業に通常伴う用便や飲水などの生理的行為も含められます。また、休憩中でも事業場内(事業主の施設管理下)にいる限りは、事業主の支配下にあるといえるので、業務遂行性が認められます
 次に、「業務起因性」とは、「事業主の支配下にあることに伴う危険や、業務に内在する危険性が、現実化したこと」をいいます。業務遂行性が認められれば、自然現象、他人の故意行為、業務を逸脱する私的行為でない限り、業務起因性も認められます。
 以上を踏まえて、ご質問のケースを考えてみます。まず、休憩中であっても、店舗内のトイレは事業施設内ですので、業務遂行性が認められます。また、トイレに行くという生理的行為は、私的行為等ではないので、作業中であれば業務起因性が認められます。さらに、「作業中に起こる危険のあったことが、たまたま休憩中に起きた」と考えることができるので、休憩中であっても、業務起因性が認められます。したがって、労災の業務上災害と認定される可能性が高いでしょう。
グルメキャリー166号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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