
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「海外派遣者を対象とした労災保険の特別加入」

Q.
勤務している飲食チェーンが、海外に出店することになりました。私は、応援要員として半年ほど海外店舗に赴任することになりました。心配なのは、赴任先で仕事中にケガや事故があった場合についてなのですが、日本と同じように労災は受けられるのでしょうか。
【36才 男性】

A.
労災保険は、国内の事業場に適用され、そこで働く労働者を対象としていますので、海外の事業場で働く場合には対象とならないのが原則です。ただし、国内の事業場に所属し、その事業場の使用者の指揮に従って勤務する場合は、「海外出張」として扱われ、特に手続をすることなく国内の事業場の労災保険から給付を受けることができます。一方、海外の事業場に所属して、その事業場の使用者の指揮に従って勤務する場合は、「海外派遣」と扱われます。海外派遣者が、国内の労災を受けるには、「特別加入」という手続をしなければいけません。「海外出張」と「海外派遣」のどちらに該当するかは、実態にもとづいて判断されます。ご質問のケースは、現地の店舗に所属して、応援要員として勤務することになりますので、「海外派遣」にあたる可能性が高いでしょう。ただ、どちらになるか微妙なケースも少なくありません。ここは勤務先の担当部署から労働基準監督署に相談してもらい、「海外派遣」にあたるようでしたら、きちんと特別加入の手続をしてもらってください。
グルメキャリー177号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
業務案内:給与計算、労働・社会保険の手続き代行、就業規則の診断・作成 店長・管理職対象労務研修の実施、人事・労務相談