
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「退職後、傷病手当金と失業給付は同時に受給できるか」

Q.
入社して3年になります。体を壊し、ここ2ヶ月ほど健康保険の傷病手当金をもらいながら、休職しています。復職の目途がつかないので、いったん退職しようかと考えています。退職後も傷病手当金は引き続き受けられると聞いたのですが、失業給付も同時にもらえるのですか。
【29才 男性】

A.
結論としては、傷病手当金と失業給付が同時に支給されることは、ありえません。
まず、傷病手当金は、業務外の病気やケガのために療養のため休業し、労務不能である日について、休業4日目から支給される健康保険の制度です。健康保険に1年以上加入していた人が、退職時に傷病手当金を受けていた場合、退職後も継続して、支給開始日から最長で1年6ヶ月支給されます。
一方、雇用保険から支給される失業給付(基本手当)は、大前提として「失業」の状態にあることが必要です。雇用保険法の定義する「失業」とは、単に働いていないことではなく、「労働の意思及び能力があるにもかかわらず、職業に就けない状態」のことです。病気やケガで働くことができない状態は、「労働の能力」があることにならず、雇用保険法上、「失業」の状態にあるとは言えません。
以上のとおり、傷病手当金を受給しているということは、「労務不能」と認定されているわけですから、「失業」状態にはなく、同時に失業給付はもらえません。
ところで、失業給付は、退職日の翌日から1年間(これを「受給期間」といいます)のうちで、所定給付日数に達するまで支給されます。あなたの場合、傷病手当金を最長であと1年4ヶ月ほど受給できます。しかし、それから働けるようになっても、失業給付は受給期間1年を過ぎているので、もらうことができません。そこで、受給期間の延長制度を利用しましょう。この制度は、病気・ケガや妊娠・出産等のために30日以上働くことができない場合に最大3年間(もとの1年と合わせて合計4年間に)延長することができる制度です。申請期間は、働くことができない期間が30日経過した日(あなたの場合退職後30日経過した日)から1ヶ月以内です。必ずこの手続をとりましょう。
まず、傷病手当金は、業務外の病気やケガのために療養のため休業し、労務不能である日について、休業4日目から支給される健康保険の制度です。健康保険に1年以上加入していた人が、退職時に傷病手当金を受けていた場合、退職後も継続して、支給開始日から最長で1年6ヶ月支給されます。
一方、雇用保険から支給される失業給付(基本手当)は、大前提として「失業」の状態にあることが必要です。雇用保険法の定義する「失業」とは、単に働いていないことではなく、「労働の意思及び能力があるにもかかわらず、職業に就けない状態」のことです。病気やケガで働くことができない状態は、「労働の能力」があることにならず、雇用保険法上、「失業」の状態にあるとは言えません。
以上のとおり、傷病手当金を受給しているということは、「労務不能」と認定されているわけですから、「失業」状態にはなく、同時に失業給付はもらえません。
ところで、失業給付は、退職日の翌日から1年間(これを「受給期間」といいます)のうちで、所定給付日数に達するまで支給されます。あなたの場合、傷病手当金を最長であと1年4ヶ月ほど受給できます。しかし、それから働けるようになっても、失業給付は受給期間1年を過ぎているので、もらうことができません。そこで、受給期間の延長制度を利用しましょう。この制度は、病気・ケガや妊娠・出産等のために30日以上働くことができない場合に最大3年間(もとの1年と合わせて合計4年間に)延長することができる制度です。申請期間は、働くことができない期間が30日経過した日(あなたの場合退職後30日経過した日)から1ヶ月以内です。必ずこの手続をとりましょう。
グルメキャリー202号掲載

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特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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