
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
「精神疾患で労災申請したいがお店が証明してくれない」

Q.
私が勤めているお店では、長時間労働が常態化していて、毎日15時間以上の勤務時間で、休日も週に1日取れるかどうかという実態です。精神的につらい日が続き、とうとう先日うつ病と診断されました。私はこれは労災にあたると考え、労災申請の書類を自分で作りました。しかし、お店は事業主としての証明欄に押印しようとしてくれません。このままでは労災申請はできないのでしょうか。
【32才 男性】

A.
結論としては、お店が証明をしてくれなくても、労災申請は可能です。
うつ病等の精神障害についての労災認定は、厚生労働省が定めた「心理的付加による精神障害の認定基準」(平成23年12月)に基づいて行われています。精神障害の労災認定要件は、(1)認定基準の対象となる精神障害を発病していること (2)発病前おおむね6ヶ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること (3)業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと、の3点となります。うつ病は、(1)の「対象となる精神障害」にあたります。長時間労働が(2)の「業務による強い心理的負荷」と評価されるための基準は、発病直前1ヶ月に160時間以上、3週間に120時間以上の残業(極度の長時間労働)、発病直前2ヶ月連続して1ヶ月あたり120時間以上、3ヶ月連続して1ヶ月あたり100時間以上の残業(出来事としての長時間労働)等が目安とされています。あなたの勤務実態も、十分に労災認定される可能性があります。
さて、労災申請の用紙には、事業主が証明する欄があります。事業主としては、労災認定をされると後々の責任問題となるため、一般的に証明したがらないものです。しかし、労災申請をする主体はあくまでも労働者本人であり、認定をするのは労働基準監督署です。事業主が証明しないからといって申請できないわけではありませんし、証明の有無にかかわらず、監督署は認定のための調査を行います。したがいまして、お店が証明してくれなくても、監督署に書類は受理されます。その際に、証明を受けられなかった理由を確認されますので、経緯を説明してください。
うつ病等の精神障害についての労災認定は、厚生労働省が定めた「心理的付加による精神障害の認定基準」(平成23年12月)に基づいて行われています。精神障害の労災認定要件は、(1)認定基準の対象となる精神障害を発病していること (2)発病前おおむね6ヶ月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること (3)業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと、の3点となります。うつ病は、(1)の「対象となる精神障害」にあたります。長時間労働が(2)の「業務による強い心理的負荷」と評価されるための基準は、発病直前1ヶ月に160時間以上、3週間に120時間以上の残業(極度の長時間労働)、発病直前2ヶ月連続して1ヶ月あたり120時間以上、3ヶ月連続して1ヶ月あたり100時間以上の残業(出来事としての長時間労働)等が目安とされています。あなたの勤務実態も、十分に労災認定される可能性があります。
さて、労災申請の用紙には、事業主が証明する欄があります。事業主としては、労災認定をされると後々の責任問題となるため、一般的に証明したがらないものです。しかし、労災申請をする主体はあくまでも労働者本人であり、認定をするのは労働基準監督署です。事業主が証明しないからといって申請できないわけではありませんし、証明の有無にかかわらず、監督署は認定のための調査を行います。したがいまして、お店が証明してくれなくても、監督署に書類は受理されます。その際に、証明を受けられなかった理由を確認されますので、経緯を説明してください。
グルメキャリー216号掲載
飲食店オーナー・経営者のみなさまへ


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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