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フードサービス業界の労務相談

※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。

「接客担当者が調理業務の手伝い中にケガをしたら労災か」

質問1

Q.

  飲食店で接客業務をしています。先日、自分の仕事が終わった後、調理場のスタッフから、「明日の仕込みがまだまだ残っているので手伝ってほしい」と言われたので、手伝うことになりました。ところが、慣れない包丁仕事だったため、途中で指を切ってしまいました。私は労災になると思っていたのですが、事務担当者から、「労災の手続様式には担当職種を書く欄がある。本来の業務と異なる作業中のケガは労災と認められないのではないか」と言われました。本当ですか。 
【27才 男性】
答え

A.

  確かに、労災の手続様式には、労災事故に遭った労働者の担当職種を書く欄があります。しかし、担当業務以外の作業中の事故が一切労災と認定されないという意味ではありません
 労災保険の業務上災害と認定されるためには、「業務遂行性」と「業務起因性」が認められる必要があります。「業務遂行性」とは、労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にあることをいいます。「業務起因性」とは、業務と病気・ケガ等との間に相当因果関係が認められることをいいます。
 労働者が、事業場内で自分の仕事をしている時間については、業務遂行性が認められることは分かりやすいでしょう。問題は、直接的には自分の仕事ではない作業中の行為が、業務と認められるかどうかです。この場合の認定基準は、当該労働者が置かれている客観的事情によって、当該行為に合理性があるか、又は必要性があるかによります。ご質問のように、手の空いた接客担当者が、調理担当者から手伝ってほしいと頼まれ、それに応じた場合、その手伝った行為は合理性・必要性が肯定されるでしょう。つまり、業務遂行性が認められることになります。もし仮に、親切心でアカの他人の作業を手伝っていた場合には、私的な行為と判断され、業務遂行性は認められません。
 そして、包丁を使っていて指を切ったことには、明らかな因果関係があるので、業務起因性も認められます。
 以上のとおり、本来の担当業務中ではなかったとしても、ご質問のケースでは労災保険の業務上災害と認定されると考えられます。
グルメキャリー239号掲載

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久野先生

特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE

昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。

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