
※各記事に関しましてグルメキャリー本誌掲載当時のものになります。法改正により、現在の内容と異なっている場合もございます。ご了承ください。
年次有給休暇取得日に、傷病手当金が支給されることはあるか

Q.
病気で1ヶ月ほど仕事を休み、健康保険の傷病手当金の支給申請をしようと思います。ところで、休業期間1ヶ月のうち、最初の1週間は、年次有給休暇(年休)を取得していたのですが、この間、傷病手当金は一切支給されないということでしょうか。
【30才 女性】

A.
傷病手当金は、療養のため労務不能で休業し、賃金が支払われない日に対して休業4日目から支給されます。ただし、賃金が支払われた日についても、その賃金が傷病手当金の支給額より低い場合、その差額が支給されます。
年休を取得した日に支払われる賃金は、多くの場合、傷病手当金の支給額より高いため、一般的には「年休取得日は、支給対象にならない」ことになります。ただし、年休の賃金より傷病手当金の方が多いケースもないわけではありません。それにあてはまるのは、日ごろ残業が多い人です。
傷病手当金の支給額は、標準報酬日額の3分の2(1円未満四捨五入)となっています。標準報酬日額は、標準報酬月額を30で割った金額(10円未満四捨五入)です。そして、標準報酬月額は、残業代を含めた賃金額の平均で決定されます。
例えば、基本給等が25万円で、欠勤1日について、これを22日で割った金額(≒11,364円)が控除される場合、年休1日に対する賃金も11,364円と扱われます。もしこの人の標準報酬月額が53万だった場合、標準報酬日額は17,670円、傷病手当金の支給額は1日につき11,780円となります。この場合、11,780円-11,364円=「416円」 が、差額として支給されます。
ただ、このような差額が生じるのは、一般的な労働契約であれば、毎月の残業時間が百数十時間に登る場合であり、ほとんど考えられないといっていいでしょう。
年休を取得した日に支払われる賃金は、多くの場合、傷病手当金の支給額より高いため、一般的には「年休取得日は、支給対象にならない」ことになります。ただし、年休の賃金より傷病手当金の方が多いケースもないわけではありません。それにあてはまるのは、日ごろ残業が多い人です。
傷病手当金の支給額は、標準報酬日額の3分の2(1円未満四捨五入)となっています。標準報酬日額は、標準報酬月額を30で割った金額(10円未満四捨五入)です。そして、標準報酬月額は、残業代を含めた賃金額の平均で決定されます。
例えば、基本給等が25万円で、欠勤1日について、これを22日で割った金額(≒11,364円)が控除される場合、年休1日に対する賃金も11,364円と扱われます。もしこの人の標準報酬月額が53万だった場合、標準報酬日額は17,670円、傷病手当金の支給額は1日につき11,780円となります。この場合、11,780円-11,364円=「416円」 が、差額として支給されます。
ただ、このような差額が生じるのは、一般的な労働契約であれば、毎月の残業時間が百数十時間に登る場合であり、ほとんど考えられないといっていいでしょう。

飲食店オーナーの方へ
傷病手当金の支給申請書には、出勤状況や賃金額、賃金の計算方法について、事業主が証明する欄があります。本人への支給額に影響する重要なものなので、正確に記載するようにしてください。
グルメキャリー291号掲載

飲食店オーナー・経営者のみなさまへ


特定社会保険労務士 久野 航 Wataru Hisano PROFILE
昭和46年生まれ。寿司職人、ファミリーレストランなど外食業界の勤務経験豊富。チェーン系居酒屋店長を経て、社会保険労務士として独立。現場での経験と法的な視点を持ち合わせる異色の社労士として、飲食業の労働環境整備に向けて日々奮闘中。
ひさの社会保険労務士事務所〒114-0023 東京都北区滝野川7-39-3 丸勝マンション201
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